多くの人が24時間365日持ち歩いているスマートフォン。ハイクオリティでリッチな動画コンテンツを閲覧できるスペックを備えるものの、消費者行動の断片化が進む中で、長尺の動画はなかなか見られにくい傾向にある。そんな時代のコミュニケーションに最適なコンテンツとして、GIF動画への注目が高まっている。今回は、SNSにおけるターゲットとのエンゲージメント強化を目的にGIF動画を活用する、花王のスキンケアブランド「キュレル」の事例を紹介する。
「アニメーション」を用いて制作したGIF動画。キュレルのポンプから出てくる泡の表現がアニメーションならではのものとなっている。
フェイスケアからボディケア、頭皮ヘアケアまで揃うスキンケアブランド「Curél(キュレル)」。「乾燥性敏感肌」という肌の悩みに応える商品群であるため、ターゲットの中で悩みが顕在化しさえすれば、ブランドへとたどり着く可能性は高い。そこでキュレルでは、ボディケア商品「【薬用】泡ボディウォッシュ」を強化するタイミングに合わせて、SNSにおいてターゲットとのエンゲージメントを強化する目的で、GIF動画を活用したプロモーションを実施した。
「『夏も、実は肌が乾燥しがち』という情報を、興味を持って見られるコンテンツを通じて伝えることで、『夏に身体の肌荒れやカサつきが気になる』というターゲットの悩みを解決するブランドとして、キュレルを認知・理解いただけるのではと考えました」と、花王キュレルグループマーケティング担当の吉田智保氏は話す。
アプローチしたいターゲットに認知され、かつ商品の魅力を効果的に伝えられる手段として、かねてからGIF動画に関心を持っていたという吉田氏。「5秒以内の短尺」「ワンメッセージ」「ループ」という、GIFMAGAZINEが掲げる“効果的なGIF動画の3原則”にも共感し、これに沿ってキュレルが表現したいことを整理した上で、同社にコンテンツの企画制作を依頼したという。
「目的は、SNS上において、ターゲットとブランドとのエンゲージメントを高めることでした。GIF動画なら、『夏も、肌が乾燥しがち』という事実、そして乾燥性敏感肌に応える製品の存在を真面目に伝達する、新しい表現ができるのではと感じました」(吉田氏)。
制作したのは、「コマ撮り」「シネマグラフ」「アニメーション」という3つの表現技法を用いた4種類のGIF動画。それぞれ驚くほど、見た目の印象が異なる。その狙いを尋ねると、GIFMAGAZINE代表取締役の大野謙介氏は次のように話す。
「夏に身体の肌荒れ・カサつきに悩んでいる方に幅広くリーチするために、同じトーンの連作ではなく、表現の異なる複数の動画を制作しました。ブランドとしてのトーン&マナーの範囲内で、表現軸を柔軟に変えることで、SNS上の多様なインサイトにアプローチしたいと考えました。この動画表現の幅広さはGIFならではのものです」。
GIFMAGAZINEでは、GIF動画のフォーマットを「ブランディング型」「参加型」「スタンプ型」「手順説明型」「既存バナーのGIF化」と大きく5つに分類して体系化しており、それぞれに合った表現技法を組み合わせることで、顧客とのエンゲージや商品・サービス認知、商品・サービス理解など、商品・ブランドの課題に合わせた最適な動画表現を追求している。
「『短尺』『ワンメッセージ』『ループ』というスマートフォンでの閲覧に最適化した表現を用い、商品・ブランドをコンテンツとして見せられることが、GIF動画の特徴であり魅力です」(大野氏)。
異なる複数の表現技法でつくられたGIF動画
「コマ撮り」を用いたGIF動画。「数秒で商品の特性をキャッチーに表現できるようコマ撮りしました」(作家:Yaoyoro’s)。
「シネマグラフ」を用いて制作したGIF動画。シャワーの水流の動きがリアルで、思わず見続けてしまう。
商品パッケージが登場してもコンテンツとして楽しめる動画
消費者が日常的に接触する情報量が増え続けるデジタル時代。WebやSNS、スマートフォンを中心とするモバイル空間におけるコミュニケーションでは、“宣伝色”をできる限り低減し、消費者にとって役に立つ、あるいは楽しめるコンテンツという形で情報・メッセージを発信することが有効とされている。
ところが、今回制作した4種のGIF動画には、いずれも「商品写真」が写り込んでいる。大野氏は、「商品パッケージを登場させながら、宣伝色を低減するのは、従来の方法では難しいことでした。しかしGIF動画ならば、表現技法を工夫することで、それがある程度可能であることがわかってきました。具体的には、今回キュレルの動画でも用いた3つの手法は、商品パッケージを伴った動画を制作するのに最適と言えます」と大野氏。
商品やブランドの課題に合った表現を見極め、それを形にできる作家を選定する目利き力が、GIFMAGAZINEの強みだ。
吉田氏は、「ブランドの課題を踏まえて企画をつくり込んでいただき、商品に対して固定観念を持っていた私たちには思いつかない、幅の広い提案をいただけたと思っています。特にシャワーのGIF動画(シネマグラフ)は、ユーザーが感じる“あるある”を上手く表現していただきました」と手応えをのぞかせる。
スマートフォン世代に、面白い・楽しいコンテンツを通じて商品・ブランドのファンになってもらう施策は、今後ますます重要になっていくだろう。宣伝色を抑えるために、商品・ブランドと距離のある内容・表現を選ぶのではなく、商品・パッケージを出した上でコンテンツとして受け入れてもらえる、ターゲットに見てもらえる表現が、GIF動画ならば可能だと大野氏は力を込める。
「『商品が伝えたいことは何か』と『ユーザーにとって心地良いのはどんなものか』の2つに立ち返り、両者を接続する発想が不可欠です」。広告としての機能と、コンテンツとしての質、どちらも“諦めない”のがGIFという映像体験の強みと言える。
今後、キュレルのマーケティング・コミュニケーション活動にGIF動画をどのように活用していきたいと考えているのか。吉田氏は「キュレルの商品ラインアップは全身のケアに及びます。GIF動画は短尺の中で多くの情報が伝達できるので、特性が伝えづらい商品の訴求にも大いに活用できるのではと考えています」と話した。
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