「緊急事態宣言」の発令から3日後、休校が続く小・中学生に向けて無償で提供された、オンライン教室『きょうの時間割』。自宅で「自ら学ぶ」習慣をつくり、新しい学びと向き合うきっかけをつくった休校支援策とは。
失われた“習慣”を取り戻す施策を
全国の小・中学校、高校、特別支援学校が、一斉の臨時休校になったのは3月2日。以降、感染拡大について予断の許さない状況が続き、4月7日には政府より「緊急事態宣言」が発令され、都市部を中心に休校の延長が決まった。前例のない長期休校──。子どもにも保護者にも、困惑が広がる中、約50年の長きにわたり通信教育サービス『進研ゼミ』を提供するベネッセコーポレーション内では「何か、子どもたちのためにできることを」と議論が起きていた。
そこで、ベネッセコーポレーションマーケティング開発セクター長橋本英知さんが相談を持ちかけたのが、同社の広告を共に制作してきた、博報堂クリエイティブ・ヴォックスECD太田麻衣子さんだった。太田さんは「今、必要なのは、広告ではないでしょう」と言った。橋本さんも同意見だった。
「あの時、多くの家庭では、学校の授業が受けられないことと同時に、“習慣の喪失”に困惑していたのではないかと思います。休校によって、登校し、チャイムが鳴ったら授業を受けて、またチャイムが鳴ったら休憩をして、時間がきたら給食…というようなリズムそのものがなくなってしまった。これまで主体的に学ぶ力を育成されてきたベネッセさんだからこそ、今、できることがある、と話しました」(太田さん)。
橋本さんは「学習習慣が崩れる問題の根底には、生活習慣の乱れがある。学校のチャイムの音ひとつも、習慣づくりにおける重要な意味を持っている」と話す。大事なのは、休校期間中でも生活リズムと机に向かう習慣を保ち、学習へのモチベーションを高めること。その支援として実施された施策のひとつが、小・中学生向けのオンライン教室『きょうの時間割』だ。学びに向かうきっかけをつくるコンテンツを学校と同様に時間割に沿って配信。
配信の方法には、規則的なリズムで生活を送れるような仕組みと工夫がある...