New normalを予感させる広告はどういったものが出てきているのか。新生活様式をハックしたもの、差別に対しての取り組みなど。ここでは、電通の橋口幸生さんがSNS上で話題になったものを中心に紹介していく。
広告にあらわれた、New normalの兆し。
5月25日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を、31日までの期限を待たずに全面解除しました。47都道府県中、もっとも感染者数が多い東京都でも、この原稿を執筆している6月11日で「東京アラート」は解除。感染対策ロードマップは「ステップ3」に移行し、ほぼすべての休業要請が終了します。日本より深刻な被害を受けたヨーロッパでも、5月初旬からロックダウンを緩和する国が出てきました。こうした社会情勢は、早速、広告にも反映されています。
振り返ると、3月頃は過酷な医療現場を讃えたり、自宅待機を応援したりする、シリアスなトーンの広告が目立ちました。しかし最近は明るい広告や、Withコロナ時代のNew normalを予感させる広告が増えてきています。
「家にいるだけで、世界を救える」。ロックダウン直後、世界中のブランドがそんなメッセージを発信。しかし今やステイホームは当たり前。その大義より、家での時間を楽しむことを提唱する広告が増えました。
Bose「#StayNoisy」
ボーズのWebムービーには、部屋で楽器の練習をする人、深夜に掃除機をかける人、大音量で戦争映画を観る人・・・などなど、さまざまな迷惑な隣人が登場。最後にノイズキャンリング機能がついたボーズのヘッドフォンが紹介されます。キャッチフレーズは「あなたが無事であることが分かって、うれしい」、ハッシュタグは#StayNoisy。コロナ危機下ならではの優しいメッセージを発信しているのが巧みです。
Havas London「Department for Education-Lockdown Lessons」
イギリスの教育省は学校再開に向けて、ロックダウン中に子ども達の教育を助けた教師や親たちに感謝するCMを公開しました。キャッチフレーズは「子ども達の勉強を見続けてくれた、すべての皆さん、ありがとう」。筆者も経験しましたが、オンライン教育って親の負担がすごく大きいんです。宿題をプリントアウトして、期日までにやらせて、Webで提出する。普段はやらなくていい面倒な作業がたくさん発生します。そんな中、国がこんなCMを流したら、ジーンときちゃうのではないでしょうか。
TikTok「A Little Brighter Inside」
いま最も勢いのあるソーシャルメディアTikTokはWeb広告ではなく...