新型コロナウイルス感染拡大の中、多くの人がデータを目にする機会が多くなった。データのわかりやすい伝え方をテーマにした宣伝会議SIMCウェビナーウィークでの対談をレポ―トする。

「東洋経済オンライン」の特設ページ「新型コロナウイルス国内感染の状況」。
データを活用する2人の実績
対談に参加したのは、東洋経済新報社 編集局 データ可視化デザイナー 荻原和樹さんと、ライゾマティクスデザイン アートディレクター/インターフェイス・デザイナー 木村浩康さん。
荻原さんは、「東洋経済オンライン」の特設ページ「新型コロナウイルス国内感染の状況」を手がける。これまでの仕事について、「昨年末には2019年の主な台風・豪雨災害を振り返るデータビジュアルを作成しました。全国の気象観測所における降水量を、3Dでビジュアルマップにしています。さらに、甲子園の投手たちがどれだけ過剰な投球をしているか示すために、アメリカの青少年向け投球ガイドライン『ピッチスマート』をもとに、球児たちの投球数を簡易的に計算し、インフォグラフィックを作成した」と説明する。
「テーマは、『人がなんとなく思っているが、データで裏付けがないもの』から考えています。たとえば先ほどの高校球児の話。松坂大輔投手が甲子園に出場した頃から長らく言われていたことを、今回データで証明できました」(荻原さん)。
一方木村さんが所属するライゾマティクスのデザイン部門、ライゾマティクスデザインは、アートからコマーシャルまでデザインを軸にテクノロジーの知見を活かしながら、横断的な活動を展開している。
木村さんは自身の作品として、東京都港区増上寺を舞台に、バルーン型デバイスを持って会場を回遊しながらインスタレーションを体験できる「Coded Field」、機会学習技術を用いて大学の卒業制作数千作品のデータを球体のデザインに変換して見せた、大阪芸術大学のアートサイエンス学科の特設サイト「Bound Baw」、並びに日本の魅力を世界へ発信するための観光オープンプラットフォーム「FIND47」を紹介した。
「『FIND47』では、日本各地のアマチュアカメラマンの情景写真を素材として使用。地域の特徴を知り尽くす人々の画像や写真を、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにして誰もが使えるようにしました」。作品をプロジェクトとして複数名で制作することが多い木村さんは...