新型コロナウイルス感染症は世界規模のパンデミックを起こした。そのような状況で世界のブランドは、どういったコミュニケーションを行ったのか。海外に精通したクリエイターに解説をしてもらう。ここでは、BBDO JAPANの本多正樹さんが動画を中心に紹介していく。
言うより、行動
降って湧いたコロナ騒動。戸惑い、迷い、計画していたコミュニケーションを中止した企業も多かったことでしょう。このかつて経験したことのない状況にどうリアクトしていくか?そこにブランドとしての姿勢や思いの強さを如実に見て取ることができます。台風が過ぎるようにやり過ごすこともできる中、果敢に生活者と関係をつくろうとしたブランドも存在します。動画を中心にその動向を追ってみたいと思います。
当初は自ブランドのロゴをもじったような表現が多数でしたが、事態が深刻化、長期化するにつれ、行動を前面にアピールするブランドが増えていきました。
Budweiser「One Team」
「This Bud's for you.(バドをあなたに。)」という長らく使ってきたキャッチコピーを、This Bud's for Warriors, Braves.などの人気スポーツチーム名に医療従事者を始めとしたコロナと闘う人たちをなぞらえ、讃えました。同時に、多くのスポーツのスポンサードをしてきたバドワイザーは、今年の予算を最前線で闘う人たちのために役立てると表明。「This season, we’re all One Team.(このシーズン、私たちみんなはひとつのチームです。)」と結びました。
Unilever Dove「Courage is beautiful」
顔に刻まれたゴーグルの跡が仕事の過酷さを物語る、医療従事者たちのポートレイトを淡々とつないだ映像。Courage is beautiful(勇気は美しい)と日夜闘う彼らを讃えます。Real Beauty(真の美しさ)をコアメッセージとしてずっと伝えてきたDoveだからこその説得力ある表現です。病院への衛生商品の無償提供やNGO団体への寄付を表明しています。
大事にするスピリットは、どんなことがあろうと止められない
こういった状況下では、ほとんどの企業が同じような物言いになってしまう中、自身が大事にする精神からブレることなく、人々にメッセージを発信したブランドがあります。
Apple「Creativity goes on」
Appleが何より大事にするスピリットは創造力。コロナ禍にあってもそのスピリットは止めることができないと、家の中でも工夫して創造に励む人々を取り上げました。一般の人たちに混じって、オプラ・ウィンフリーやラッパー D-Niceの姿も。構想から2週間で...