ティーリアムジャパンは10月6日、「アノニマス(匿名)データ有効活用セミナー」を開催。これまで企業のWebサイトを訪れながら、アノニマスとして取り扱われていたデータを有効活用するため、必要な考え方と方法論、またデータ活用の理想形について事例を交えながら紹介した。
サイト訪れる97%の匿名ユーザーをデータ結合で分析、理解する
第1部ではティーリアムジャパンの海老澤 澄夫氏が登壇。「現在企業のWebサイトを訪れる97%がアノニマス(匿名)。この匿名来訪者にテクノロジーを使い、どうアプロ―チをするかがこれから課題になってくる」と述べた。
匿名状態だからと言って、何も情報がないわけではない。Web上での行動を通して「どういうコンテンツに興味があるのか」などの情報は取得できる。「これらの情報はどこかの時点でその人が会員になり特定された時、匿名状態時のプロファイルとつなげればマーケティングや営業活動を効率よく進められる」と海老澤氏。その際「情報収集をとにかく早く、そしてどのように活用し、リアルタイムで実行していくかが重要」と話した。
第2部はアビームコンサルティングの本間 充氏が登壇。「なぜマーケティングにデータが必要なのか」「データ統合の必要性と継続して取得する重要性」について過去のマーケティング手法と現在を比較しながら現状を説明した。
本間氏は「ソーシャルネットワークの登場により、かつて職場やコミュニティーにあった性・年齢ごとのつながりより、趣味趣向でつながる友人とのコネクションの方が太くなった。また行動に関しても昔は自分たちの行動はある程度規定されていたが、今は無意識の行動が人々の行動を決めている」と話し、このような変化の中、顧客を知るためにマーケティングにはデータが必要と述べた。
さらに顧客を観察する重要性を指摘し、「顧客情報は事前に取っておき、必要な時に過去データを組み合わせて最適なサービスをいち早く出す。これが今、求められているマーケティングだ。そこでデータの統合を継続的に行うことが重要」と語った。
第3部はTSUTAYA 大畠崇央氏と良品計画 川名 常海氏がディスカッションを開催。
社内データの統合が終了し、活用が始まっているという2社。データ活用の理想形について「デジタルツールによって顧客がどのようなコンテクストで店頭に現れたか理解した上で接客すると豊かな会話が生まれるのでは」(川名氏)、「データベースも社内もタテ割りだったが、データ統合をした結果、店舗に来た人がWebでどんなページを見ているかわかるようになった。社内では各部署でお互いのデータが見え、関わり合いが増えた」(大畠氏)とそれぞれの見解や成果を話した。
それでは、マーケターはデータを活用する際、何に気をつければいいのだろうか。「データは裏付けを取るという位置づけ」と語る川名氏は、「データの背後にあるお客さまの心理など行間を読むことがマーケターに求められるところではないか」と指摘した。
また、大畠氏は「データに頼りすぎないこと。お客さま視点での体験や価値観を考えたユーザーエクスペリエンスを高めることも重要」と述べ、経験や価値観をどう活用するかを模索するために社内で行った「感情を体感する」ワークショップを紹介。また、AIなどの研究で感情とデータの融合を検討していることも紹介した。最後に川名氏は「データ活用は顧客視点で考えて理想を実現すべき。統合が目的ではない」と結んだ。
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