地方自治体や地域の食品メーカーが、レシピ動画を活用するケースが増えている。宮城県や鹿児島県曽於市は、地元の特産品を使ったレシピ動画を制作し、SNS上で配信することで、高い成果を挙げた。そこで国内最大級のレシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」 マーケティングソリューションズ マネージャーの三ツ中菜津美氏に活用が進む背景と、効果的な動画の使い方について聞いた。

エブリー 「DELISH KITCHEN」
マーケティングソリューションズ マネージャー
三ツ中 菜津美氏
複数の食材を盛り込み 地方の特産品の認知拡大
近年、多くの自治体が地域の魅力を伝えるためのPR動画を制作している。しかし、閲覧数がうまく伸びなかったり、拡散を狙い炎上してしまうケースも出ている。さらに地方自治体はマス広告での展開ではなく、限られた予算の中で成果を出さなければいけない。
そんな中で注目されているのが、レシピ動画だ。地元でとれる野菜や果物などの農作物、魚貝類や海藻などの海産物を食材として使ったオリジナルレシピを開発し、Facebookなどのソーシャルメディア上で配信させていく。
「DELISH KITCHEN」 マーケティングソリューションズ マネージャーの三ツ中菜津美氏は、「レシピ動画を使って20代から30代の料理をする人に対して、地元の食材の魅力を伝えたいという問い合わせを全国各地からいただいています」と話す。
実際に、宮城県は宮城県産トマトの魅力発信・消費拡大に向けて、同じく同県の特産品である「白石温麺(しろいしうーめん)」を使ったレシピ動画「あけてびっくり!丸ごとトマトのさっぱりうーめん」を公開。その結果、動画は40万回以上も再生され、そのコメント欄には県外からだけでなく、「自分たちの県の食材が、注目されてうれしい」といった県内からの声も寄せられた。
三ツ中氏は、「どの地域にも魅力的な食材がたくさんあります。メインの一品に絞るだけでなく、料理に使えそうな食材を探して、複数の特産品を盛り込むようにしています」と話す。この宮城県の動画では、仙台・宮城観光PRキャラクターで、ゆるキャラの「むすび丸」も登場している。
また、北海道漁業協同組合連合会は、地元で獲れた昆布を使った「昆布たっぷり味噌パスタ」、ホタテを使った「プリプリほたてのチリソース煮」を制作。魚介類を使った調理経験の少ない若い世代に向けて、それらが簡単に使える上、美味しいことを伝える狙いだ。
「各地域の担当者の方は、自分たちの食材の強みは理解しているものの、若年層に興味をもってもらうための伝え方が分からないという課題を抱えています。そこで私たち『DELISHKITCHEN』の知見とターゲットへの訴求力をお役立ていただいています」(三ツ中氏)

宮城県 農林水産部 食産業振興課
「食材王国みやぎ」公式FacebookやInstagramにも動画を掲載し、再生回数も多く、良い手応えでした。ユーザーの方から食材についてのコメントをいただけたのも嬉しいですね。また、イベントや量販店売場での放映など、動画を幅広く活用できました。

北海道漁業協同組合連合会 販売企画部
部長代理 工藤しのぶ氏
昆布はダシなどに利用が限定されがちですが、料理を手軽に美味しく、ヘルシーにできることを家庭で再現しやすい料理で的確に表現し
てもらえました。今後も「DELISHKITCHEN」のようなメディアを活用する機会は増えると思います。
ふるさと納税の寄付金が140%に 地域の食品メーカーの活用も
特産品のPRに加えて、「ふるさと納税」のプロモーションにもレシピ動画の活用が進む。鹿児島県曽於市では市内産の黒牛ステーキ肉を「ふるさと納税」の返礼品に採用している。そこで同じく、同市の特産品である柚子こしょうを使ったステーキのレシピ動画「鹿児島黒牛ステーキ」を配信した。
「お肉を焼くというシンプルなレシピだけに、シズル感が重要です。お肉の厚みや霜ふりの魅力がそのまま伝わるように撮影しています」(三ツ中氏)。
動画は25万回以上再生され、配信月の寄付金が対前年比140%を超えるなど、地方の財源増加に貢献することができた。
さらに自治体だけでなく、地域の食品メーカーの活用も増えている。福岡市の「辛子明太子のやまや」では、「めんたいマヨネーズ」の認知と売上向上を目的にレシピ動画「明太マヨのいももちミニサンド」を配信している。
「動画に寄せられるユーザーのコメントから、次の商品開発やPR活動のヒントが得られるようです。また、動画の二次利用も可能なため、地域の特産品展などのイベントで使える点も評価いただいています」(三ツ中氏)。

鹿児島県 曽於市商工観光課 商工ブランド推進係
主任 竹石幸浩氏
おいしいお肉が想像以上にきれいに簡単に料理できることを、視覚的に訴えかけられるように制作してもらいました。肉だけでなく、特産品の柚子を使った「柚子こしょう」も、色々と使えることが伝えられたと思います。

やまやコミュニケーションズ WEB戦略チーム
市村尚子氏
今回の取り組みは、直営店舗、得意先さま販売店、自社サイトなど多チャネルで連動して販売促進を行い、社内的にも大きな布石になりました。動画を通じて、「やまや」ブランドを知っていただけたと思います。
制作フローを“見える化” 遠隔地でも安心できる体制
一方で、動画の撮影スタジオは東京都内にあるため、担当者からすると、制作に不安を感じることもある。そこで「DELISH KITCHEN」では、オリエンテーションから絵コンテ、撮影までの中で、随所に写真を使うことで完成までのフローを“見える化”し、遠隔地にいる担当者でも安心できるように工夫している。
「頻繁に出張できないご担当者さまも多くいらっしゃいます。動画配信までの流れを確立することで、同席がなくても動画の完成まで安心してお任せいただけます」(三ツ中氏)。
ターゲット層の関心を引くことができる上、さらに制作体制も万全となれば、今後も地方からのレシピ動画の活用が増えそうだ。
「DELISH KITCHEN」を選んだポイント
POINT 1 ▶ 若年層に特産品の魅力が伝わる動画が制作できる
POINT 2 ▶ 二次利用でき、地域の特産品を紹介するイベントなどで使用可能
POINT 3 ▶ 寄付金や売上増加につながるリーチ力
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