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2017年版 危機管理広報マニュアル

事件発覚から会見後までを完全再現!水面下の広報対応シミュレーション

佐々木政幸(アズソリューションズ 代表取締役社長)

今回は、仮に「パワハラによる問題が発覚した」という設定でクライシス発生時の広報の「水面下の動き」をシミュレーションしてみよう。

「パワハラを受けた」という社員がSNS上に告発。
ネット上は炎上寸前で、対策会議は荒れ模様…。

STEP 1 初動対応
発覚~3時間以内

何らかの問題が発覚した場合、危機管理本部や対策本部と呼ばれる密室の対応本部が組まれ、対応方針を決めるが、事案発生(または把握)後3時間以内が分かれ目となる。情報の収集から集約、整理までを一気に行いたい。

    初動対応のフロー

    (1)広報担当内の責任者(部長)と危機管理担当者を中心に対策本部を設置

    (2)何が起きたのか、事実関係を正確に把握

    (3)3時間以内で全社の対応方針を決定
    対策本部長を中心に状況把握に努め、被害者や取引先、株主、社員などそれぞれの対応を決定する。即断即決が原則。

    (4)対策本部の役割分担を決める
    情報収集班→すべての情報を迅速に集める
    情報集約班→情報収集班が集めた情報を、時系列、対象者、事象内容などに分けていく
    情報整理班→集約された情報を元に想定問答(Q&A)を作成

    あらかじめ役割分担を決めておく。また、広報だけでなく他部署から応援を募る場合、問題が発覚した部署と連携した役割分担を行っておくとよい。

    (5)マスコミ用コメントを準備
    マスコミからはコメントを必ず求められる。平時にクライシスを想定して作成しておくこと。その際、(A)謝罪すべき案件か(B)単なる説明で留めるのか、をしっかり区別する。

よくある質問

Q.初動対応で広報が果たすべき役割は?

A.「世の中の風を捉えた対応かどうか」をチェックすべし
対策本部で広報担当者は以下の点に目を光らせ、進言するのが役割だ。パワハラに関する世論も踏まえた上で対応したい。

  • 風(世の中)を敏感に捉えた対応になっているか
  • 被害者の立場に立った対応方針となっているか
  • フィルター(マスコミ)を通して説明できる内容になっているか
  • マスコミから問い合わせが殺到!
    鳴りやまない電話に、どう対応したらいい?

    STEP 2 電話対応
    発生3時間後~半日後

    よく電話口で記者に対して「記者会見ですべてお話しますので」という常套句が使われるが …

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