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2017年版 危機管理広報マニュアル

三菱とスズキは信頼を取り戻せるのか?自動車業界の危機管理と広報

中西孝樹(ナカニシ自動車産業リサーチ 代表 兼 アナリスト)

「三菱自動車がまたも不正」「スズキ、お前もか」──。2015年のフォルクスワーゲンに続き、国内自動車メーカーで不正が次々と発覚した。自動車産業を専門とするアナリストの視点から、企業広報としての問題を解説する。

問題の経緯
4月20日 三菱自動車工業は燃費試験における不正行為があったと発表。国土交通省による立ち入り調査を経て、5月11日に益子修会長が初めて会見を開いた。翌12日には日産と提携し事実上の傘下に。続くスズキも5月18日に国交省から不正の指摘があり鈴木修会長が会見。両社とも不正対象車種が追って拡大するなど、度重なる不信を招く事態となった。

三菱自動車 燃費偽装発覚後の経緯とツイート件数の推移
出所/ホットリンク「クチコミ@係長」調べ(計測したTwitterのツイート数のうち10%を抽出)
FAは編集部調査から

スズキの不正謝罪会見での一幕だ。「処罰を考えているか」という記者の質問に対し、「悪意で燃費を良くしようとするのは問題だが、善意でやったということであれば、人情的に考えなくちゃいかん」とスズキの鈴木修会長は回答した。

「これって謝罪会見ですよね。善意ってなんですか、謝罪されているのですか」と記者が詰め寄る。鈴木修会長は重大な失言を発してしまった。

自動車業界は2015年から大荒れであった。独フォルクスワーゲン(VW)の世界規模の排ガス不正が昨年秋に発覚し、規制の網を不正で潜り抜けようとする企業行動が明るみとなった。そんなところに、国内でも燃費試験での不正発覚が連続したのだ。

三菱自動車工業の燃費試験で前代未聞ともいえる不正行為が発覚し …

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