真の「リテールメディア元年」到来はまだ先か? 特集から見えた、小売とメーカーそれぞれの想い
国内でもリテールメディアという言葉が広告・マーケティング、販促領域で多く聞かれるようになり、久しくなりました。店頭にデジタルサイネージを置く店舗がますます増えていたり、この前買った気がする商品のクーポンがアプリで届いたり……。小売を取り巻くメディアの変化は、街を歩いていても肌で感じるほどになってきました。これまでに発表された市場予測を見ても、その注目度や期待値は右肩上がりであることは明らかです。
「リテールメディア元年」という言葉が多く聞かれた2023年。たしかに、注目度や期待値は常に右肩上がりのリテールメディアですが、運用はまだ一部の大手ブランドに留まっている印象を受けます。今回はメーカーと小売・流通の両方の観点から、リテールメディアで叶えていきたい「理想」と、活用拡大を実現するために乗り越えなければならない「現実」に目を向ける特集です。媒体社である小売と、広告主であるメーカー。両者の「理想」と「現実」の差を埋めることがすなわち、日本国内の真の「リテールメディア元年」に近づくためのヒントになり得るのではないか。そのような仮説のもと、「リテールメディアの現在地」をまとめました。
国内でもリテールメディアという言葉が広告・マーケティング、販促領域で多く聞かれるようになり、久しくなりました。店頭にデジタルサイネージを置く店舗がますます増えていたり、この前買った気がする商品のクーポンがアプリで届いたり……。小売を取り巻くメディアの変化は、街を歩いていても肌で感じるほどになってきました。これまでに発表された市場予測を見ても、その注目度や期待値は右肩上がりであることは明らかです。
「TSUBAKI」や「uno」「シーブリーズ」などを展開するファイントゥデイでは、リテールメディアの活用を2017年から進めている。国内でリテールメディアという言葉が盛り上がり始めたのがコロナ禍だったことを考えると、比較的早い段階から広告出稿を開始していることになる。なぜ、同社はリテールメディアの活用を続けるのか。メディアとして感じる価値と、社内での統率の取り方を聞いた。
国内でもますます活用が増えつつあるリテールメディア。しかしその中には、従来の商習慣の影響による「お付き合い」的な出稿もあると聞く。メーカーが本当に使いたくなるメディアサービスにならない限り、リテールメディアの成長はないのではないかと話すのがインストアサイネージ事業を手掛けるストアギークの取締役 安藤尚人氏だ。ジョンソン・エンド・ジョンソンでメディアプランニングやリテール連携施策に従事した安藤氏が考える、「メーカーが使いやすいリテールメディア」とは何か。
小売・流通は、メーカーにとっては重要な顧客だ。しかし、リテールメディアの登場によってこの関係に複雑性が生まれ、広告事業においては両者が逆の立場となった。とはいえ、メーカーが小売に対してリテールメディアへの想いを伝えることは難しく感じることも多いだろう。本記事では、そんな「メーカーが普段は言えない、リテールメディアにおける小売への想い」をユニリーバで14年、また、グループ傘下のラフラ・ジャパンで代表を務めた木村 元氏が代弁する。
2024年3月から本格的にリテールメディア事業を開始したイトーヨーカ堂。他社を見渡してもデータ中心のリテールメディア展開が多い中で、子会社のイトーヨーカドーネットスーパーが力を入れるのがフリーペーパー『ぽちたす』だ。なぜ、データを重視した広告配信が当たり前になる時代に、紙メディアへ注力するのか。イトーヨーカ堂 リテールメディアプロジェクト ディレクターの望月洋志氏が、これから成し遂げたい「理想」と解決すべき「現実」を語る。
2023年12月、ドン・キホーテ/ユニーを運営するPPIHは博報堂とタッグを組み、リテールメディア事業を展開する会社「pHmedia」を設立。「majicaアプリ」を活用し、売り場企画との連動を軸に広告サービスへ拍車をかけ始めた。同社 代表取締役社長の奥田 薫氏が語る、“驚安の殿堂”が成長するために必要なのは「メーカー理解」だ。
ファミリーマートが展開するリテールメディアで最も印象的なのは、レジ上に設置された店頭サイネージ「FamilyMartVision」。クッキー規制の今、リテールメディア事業をスケールするには小売が持つ「購買データ」が不可欠になりそうだが、なぜ店頭サイネージの拡大を進めるのか。その背景には、同社がサイネージに期待する明確な役割があった。
2022年にリテールメディア事業へ参入したセブン-イレブン・ジャパン。圧倒的な会員数を誇るセブン-イレブンの公式アプリを軸にした広告サービス提供が、同社リテールメディアの特徴だ。日本におけるコンビニの王は、2023年度のリテールメディア事業をどう捉えたのか。同社リテールメディア推進部総括マネジャー 杉浦克樹氏が語る。
CARTA HOLDINGSはデジタルインファクトと共同で、リテールメディア広告市場に関する調査を2022年から実施している。2023年12月に発表された第2回目の調査では、2022年9月に公表した市場調査から「リテールメディア」の定義を変更して、再推計を行った。変更された定義から、リテールメディア市場に起こっている変化を読み取る。