国内でもますます活用が増えつつあるリテールメディア。しかしその中には、従来の商習慣の影響による「お付き合い」的な出稿もあると聞く。メーカーが本当に使いたくなるメディアサービスにならない限り、リテールメディアの成長はないのではないかと話すのがインストアサイネージ事業を手掛けるストアギークの取締役 安藤尚人氏だ。ジョンソン・エンド・ジョンソンでメディアプランニングやリテール連携施策に従事した安藤氏が考える、「メーカーが使いやすいリテールメディア」とは何か。
アドテクノロジー企業を2社経験した後、2016年にジョンソン・エンド・ジョンソン コンシューマーカンパニーに入社した安藤尚人氏。Eコマースを担当し、その後メディアプランニングも兼務。現在はリテールメディア事業を展開するストアギークにて取締役を務めている。ECプラットフォームやオフラインリテール向けの広告メディアプランニングを務めていたこともあり、メーカー勤務時代からリテールと連携したメディア施策には価値と課題を感じていたという。まさに、リテールメディアの領域だ。
現在もリテールメディア、とりわけインストアサイネージ事業に従事している安藤氏は、メーカーがリテールメディア活用に踏み切れない要因をどう捉えているのか。安藤氏は小売・流通各社のリテールメディアサービスが、「メーカーのマーケター向けにつくられたサービス設計になっていないこと」があるのではないかと話す。
というのも、これまでの小売とメーカーの商習慣によって、どうしても小売のほうが、力関係が上になってしまう構造がある。その関係性のままリテールメディアビジネスを展開していると、いわゆる「お付き合い」での広告出稿になってしまったり、あくまで小売目線でのビジネスとしてのリテールメディア事業展開になってしまうため...