IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

注目のU35クリエイター デジタルネイティブの仕事と思考

いつだって自分の納得が行くまで仕事をしたい

広告会社、個人のデザイン事務所、フリーランス、同じアートディレクター、デザイナーと言えども、働く会社によって、あるいはまた、新卒で入社した人と転職を経験した人では仕事の進め方や働き方は大きく異なります。今回、さまざまなバックボーンを持つ、30歳前後の女性クリエイター5人に集まってもらいました。デザインに関わる仕事の中でいま考えていること、女性としての人生など、等身大の思いを話していただきました。

デザイナーに個性は必要?

──皆さん、最近、仕事をする中でどんな課題がありますか。

柴谷:私は最近、自分らしさや自分の個性について考えるようになりました。最近まで私、自分の個性を考えたことがなかったんです。普段はクライアントの課題や社会問題を解決するべくデザインを考えているから、あまり意識したことがなくて。皆さん、仕事の中に自然と自分らしさや個性って出ているんでしょうか。

加藤:私は仕事においては自分らしさを出そうと考えていません。というのも、クライアントらしさを出すことが最優先だからです。考えるべきことは、売上も上がってデザインもいいものにすること。そこへのこだわりがあるし、クライアントごとに課題もご依頼も、解決方法も全然違うので、そこで一番いいデザインをしたいという気持ちが強い。それは、自分の表現とは違う気がします。

香取:私はデザイナーという立場なので、自分の表現を出すということはあまりないですが、痕跡は残したいと思っています。本当に些細なことですが、書体や文字組みなど、細かい所にちょっとだけ自分らしさを出してみたり。そういう誰も気づかないレベルで、個性を出せればと思っています。誰も気づかないから自己満足でしかないんですけど、そうすることで、やっと達成感が得られるというか、自分が納得できる気がしますし、何より楽しいんですよね。

西川:「こうしておきました!」とかって、自分からADには言わないんですね。

香取:そうですね、「こちらの方が良いと思います」と伝えるときもありますが、あえては言わないです。ダメな時は言ってもらえるので、何も言われないってことはOKだったのかなと。基本は指示に沿ってつくるのですが、自分で考えた案も入れるように意識しています。大体はダメですが、それでもめげずに出し続けるとたまにOKが出たりする。そういう見えないところでも自分らしさが少しでも残せればいいなと。あとOKが出た時はすごく嬉しいです。

西川:同じ個人事務所でもやり方が全然違いますね。前に一度ADの柿木原(政広)がラフを描こうとした時、思わず「描かないでください!」と言っちゃったことがあります。

柴谷:それは自分がやりたいから?

西川:そうです。その仕事のデザインを基本任せられていたので、責任を持って自分でやりたい気持ちが強かった。それに柿木原が描いたラフをそのままつくるのって、ただの作業マンな気がして。それもいやだったので、私がやりたいと、すごくわがままだけど主張しました。10inc.には柿木原ならではの色があり、その考え方ややり方には学ぶことばかりなのですが、私も柿木原のように「私がやりました」って言えるようになりたかった。

でも表現や技術が追いついていなくて、そんな自我の塊状況の時に、柿木原がグラフィック「1_WALL」というコンペを教えてくれたんです。仕事をしつつ半年に一回くる「1_WALL」に5年くらい出し続けている中で、自分の表現が鍛えられていった感じはあります。そんな活動をしつつなのですが、私はデザインの中に自分を出したいとはあまり思っていなくて。でも、みんながOKを出したものであっても、自分の中でしっくりくるまでつくり続けるようなところはありますね。

一乗:いまお2人の話を聞いて、本当にそうだなと思います。私も1年前まで個人事務所でデザイナーとして働いていたので、よくわかります。デザイナーという立場だと自由が効かないから、作業をする上で考えさせられることが多いですね。

西川:柿木原と自分の2人でそれぞれ案を出して、自分の案が通ったときは、よっしゃ!みたいな。すごい性格悪いですね(笑)。でも、常にチャンスを与えてもらってます。

一乗:私も自分が誰かの手下のような存在になるのは、すごく嫌でした。自分も作業したのに、スタッフリストに名前がなかったり。それがきっかけで、もっと自分を出していきたいと思って、そのとっかかりを探すようになりました。家に帰ってから絵を描き続けていたら、ギャラリーの方から「個展をやらない?」と声をかけていただき、イラストレーションという方向でいけるかもしれないと。

先ほどの自分らしさで言えば、イラストレーターとしては自分らしさがあるタイプの絵だと思っていますが、逆に飽きられやすいんじゃないかと心配で。末永くイラストレーターとして仕事をしていきたいので、そのことが今後の課題ですね。

一乗ひかる

「ふろしき百花店」メインビジュアル

沖縄タイムス「しまくとぅば広告」

上司との距離、どのくらい?

──皆さん、上司となる人とはどのくらいの距離感で接していますか。

加藤:私はかなりの頻度で水野(学)を飲みに誘います。めっちゃ仲良いですよ。

一同:ええ~。

加藤:話題のお店に行ったり、ときには水野家に押しかけて、水野は寝落ちしてるのにスタッフで飲み続けてることも(笑)。

西川:え、どういう話をするんですか?

一乗:1日中ずっと一緒にいるのに?

加藤:水野は予定が多いのでずっと一緒ではないですが、仕事の話はもちろん、世の中で起こっていることからくだらないことまで、いろんな話をします。

香取:お話を聞いていると、柿木原さんと西川さんも距離が近そうですね。

西川:近いですね。だけど、毎日はご飯に行かないです(笑)。

一乗:仲よさそうですよね。

西川:仲はよいと思います。何でも話しますね。失恋したんすよ~とか、プライベートのことも。父親とは言いませんが近い感じです。

加藤:私もそういう感じですね。父親みたい。

西川:後輩との接し方や世の中のこと、自分の今後のこととか。もう全部話しますね。柴谷さんには、ボス的な存在の人はいるんですか …

あと62%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

注目のU35クリエイター デジタルネイティブの仕事と思考の記事一覧

注目のU35クリエイター デジタルネイティブの仕事と思考の記事一覧をみる

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る