訪問巡回活動に多大なコスト 契約規約と放送法の間に齟齬も
NHKの受信料をめぐる議論が続いている。これは、NHKが総務省懇談会で、世帯がテレビなどの「受信設備」を購入した際にNHKへの届け出を義務化する制度改正を求めたことによるものだ。これを報じた新聞各社や民放からは反発の声が上がっており、議論を呼んでいる。
総務省の有識者懇談会「放送を巡る諸課題に関する検討会」は、今年4月に「公共放送の在り方に関する検討分科会」を設置。分科会長には、独協大学教授の多賀谷一照が就任した。
同懇談会でのNHKの要望は、テレビやレコーダーなど「受信設備」を購入・設置した際にその旨を届け出ることの義務化だ。
受信料の公平負担の徹底には、未契約者や住所変更などをしても連絡がない人の把握が必要となる。しかし現状では、それらの把握のための訪問巡回活動に、多大なコストが発生している。
具体的には、2019年度は未契約者や入居者の入れ替わりを把握するための「点検」が年間3.1億件、契約が確認できない家への訪問が同1.3億件などを実施。それらの「営業活動」に305億円の経費がかかったとしている。さらに、NHKは戸別訪問によりクレームやトラブルも発生し「視聴者とNHK双方にとって不幸な状況になっている」という。
その上で、NHKは「受信設備の設置届出義務」と自治体や電力・ガス会社などの公益事業者により「未契約者氏名(居住者情報)の照会」ができる制度を導入することで、訪問によらない営業活動を行い、公平負担の徹底と経費の大幅削減、クレーム抑止が可能になるとしている。
放送法では...