熱狂的な市場予測も現実は大きく下回る結果に
VR(バーチャル・リアリティー)/AR(拡張現実)元年と呼ばれた2016年、欧米の調査会社や投資会社は、こぞって2020年のグローバルVR/AR市場規模予測を発表していた。とある会社の2020年市場予測は、9.2兆円。また、ある投資会社の予測は17.3兆円にものぼっていた。
2016年当時は、ゲームやテーマパーク、それに映像作品など、エンターテインメント領域においてのVR/AR利用が期待されていたこともあり、アメリカの大手メディアはいち早くVR関連のスタートアップに出資、Googleも「Magic Leap」というスタートアップに600億円以上、出資していた。
そのVR/AR市場だが、現実の2020年はどこまで拡大したのだろうか。アメリカの調査会社「Grand View Research」社が発表した資料によると、2020年のVR/AR市場は約1.5兆円になるとしている。4年前の熱狂的な予測をかなり下回る予測となった。
拡大しなかった2つの理由 「不十分な流通網」と「高価格帯」
予測を大きく下回った原因としては、何が考えられるのだろうか。まず第1に、コンテンツの流通網の整備が不十分であったことがあげられるだろう。
当時、VRゲームをダウンロードして楽しめるプラットフォームは、「STEAM」など、限られたものしかなかった。そのため...
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