コロナ禍において、他社に先駆けてオンラインイベント「いいかも!オンライン飲み ASAHI SUPER DRY VIRTUAL BAR」を開催したアサヒビール。素早い反応の裏にはどのような戦略があったのか。広告宣伝の戦略について、宣伝部 部長の望月省二氏に話を聞いた。
コンテンツを有効活用しアプローチする層を拡大する
「マス」に「デジタル」さらに「リアル」を掛け合わせ、「お客さまの心を動かす広告展開」の実現を広告宣伝の戦略方針に掲げるアサヒビール。
マーケティング本部 宣伝部 部長を務める望月省二氏は、同社の広告活動について、次のように話す。「当社の広告宣伝費の割合を見るとテレビCMのウェイトが高くなっていますが、これはテレビの持つリーチ力とコンテンツ力を評価してのことです」。
加えて、テレビはテレビCM単体として機能するだけでなく、そこからの派生効果がある。具体的には、テレビCMとデジタル広告をいかに掛け合わせるかがポイントだと考えていると望月氏は言う。
「例えば、テレビ番組連動CMを制作し、テレビ放映に加え、TwitterなどのSNSでも投稿することで、テレビとは異なる層にアプローチができ、テレビ番組のコンテンツ力を活用できます。他社も実施していることではありますが、有効な手段であると考えています」。
もちろん、ひとつのコンテンツを複数メディアで流してさえいればよいというわけではないが、テレビのリーチを補完するという側面がある他、テレビで既にある程度認知を獲得したクリエイティブをデジタルでも有効活用できるという意味で、テレビとデジタルの連携のひとつの形と言えそうだ。
しかし、アサヒビールではそれ以外にも各メディア特性に応じたクリエイティブのつくりわけにも取り組んできた。そのメディアの先にいるターゲットも違えば、メディア接触態度も違う。その違いを踏まえたクリエイティブが求められているのだ。
「今年私たちが行った事例のひとつに、若年層をターゲットとしたスーパードライの施策『#思い出の瞬間Twitterキャンペーン!』があります。これは、若年層のインサイトをベースにWeb限定動画を展開し、一般の参加者からテーマに沿った写真、動画を募集。最終的にその投稿写真、動画の一部を活用したWeb限定CMをつくるという企画です。若年層のビール離れという課題に対し、『ビールを飲むことの楽しさ』を提案したいという思いで実施しました。Twitterというメディア特性を踏まえ...