Netflix、Amazonプライム・ビデオなどOTTの時代。従来の押しつけられる広告が無視されてしまういまだからこそ、ブランデッドエンターテイメントが求められるのか、これからの広告の形について、鈴木智也氏が解説する。
- ブランドがプロデュースするエンターテイメント。
- 飛ばしたくならないような広告。
- エンターテイメントを邪魔するのではなく、観客に求められるためにつくられたマーケティング。
- ブランドの金銭的投資・顧客の時間的投資の両面で投資対効果が高い広告。
- 「見せる」ために時間を買うのではなく、顧客を魅了して「思わず見たくなる」広告。
ブランデッドエンターテイメントとは...
アドフリーフォーマット伸長の時代 いかにストーリーを伝えるか?
コロナパンデミックは世界中のあらゆる分野の変化のトレンドを加速させ、次の100年を定義する新しい現実「ニューリアリティ」を生み出しつつあります。企業のマーケティング活動においても対面からオンラインへのシフト、そして販売営業活動もリアルイベントから動画へなど、様々な変化が起きています。そして社会の危機という変化に応じて、ブランドも商品機能だけでなく、何のために商品やサービスを提供するのかといった、ストーリーや理念を語る必要も高まるでしょう。
メディア環境でもNetflixやSpotifyといったオンデマンド、しかも観客がお金を払って広告を避けることができるプラットフォームが伸長しています。観客がアドフリーフォーマットに流れる中、いかに核となるメッセージやストーリーを届けていくのか?ブランド側は加速する新しい現実「ニューリアリティ」を受け入れて、対応していく必要がありそうです。
生活者の選択肢はより広がり強制的に広告は見てもらえない
世界中でNetflixなどの有料の動画配信サービスが加入者を伸ばしているのは、コンテンツの質と量もさることながら、広告でコンテンツ視聴を遮られないことも大きな要因ではないでしょうか。ドラマを見ていたら、ブツっと中断し、本編と関係のないコマーシャルが3分流れ、またドラマに戻る。これはエンターテイメントを楽しみたいユーザー体験として、はたして優れたフォーマットと言えるでしょうか。
何よりもブランド・広告産業に属する私たちにとって脅威的な問題は広告なしサービスでコンテンツを例えば10時間イッキ見した生活者は、その間広告に一切触れていないという事実です。広告の有無を含めて、ドラマ・バラエティー・映画・音楽・舞台・ライブ・テーマパーク・ニュース・動画・写真、どのコンテンツを、どのプラットフォームからどのタイミングで視聴・体験するのかを決めるのはすべて生活者なのです。
ブランド、広告のコミュニケーションの競争相手は、もはや競合ブランドだけではなく生活者の前にある、あらゆる情報・コンテンツだと言える状況です。もちろん広告ありのプラットフォームにも依然として大きな需要があり続けるとは思います。しかし観客の時間は限られています。観客の時間を奪い合う戦い、つまり...