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世界のトップクリエイターの判断力──クリエイティブの潮流2020

国際広告賞の受賞作から見る 2020年のクリエイティブ(1)

新型コロナウイルスの影響によって、世界中さまざまな広告賞が延期・中止またはオンライン開催となった。このような状況下で、評価された作品からは未曽有の年となった2020年を反映するかのように、新しい潮流が見えてくる。ここでは、本誌の「WORLD REPORT」連載で取り上げた国際広告賞の受賞作品をまとめて紹介する。

New York Festival Advertising Award

オンラインで審査を継続し、今年5月に結果が発表されたNew York Festival Advertising Award。最高賞「ベスト・イン・ショー」を受賞作品と、次点で優秀作品とされるグランド賞の作品の一部を紹介する。


部門:受賞者 フィルム部門:博報堂+博報堂ケトル
作品名 jms(トヨタモビリティパーツ)「連続10秒ドラマ『愛の停止線』」

破竹の勢いの10秒メロドラマが最高賞を受賞

「連続10秒ドラマ『愛の停止線』」は、トヨタモビリティパーツ(旧タクティー)が展開するカー用品店、ジェームスがYouTube公式チャンネルや特設サイトで公開している全28話のWebムービー。恋多き男「部長」を中心としたメロドラマが、テレビCMで一般的な「15秒」でも、YouTubeのバンパー広告で採用されている「6秒」でもなく、「10秒」という尺で紡がれていく。“ブレーキの効かない”恋愛模様を楽しめると同時に、各話の最後には、おすすめのカー用品を紹介しているのが特徴。

いずれも、商品のベネフィットから逆算してストーリーを製作したという。同作品は、2018年10月に第1話が公開されて以来、総再生回数1000万回を突破した。




部門:受賞者 ソーシャルメディア&インフルエンサー部門:K's Galleries
作品名 K's Galleries「Eva Stories」

悲劇の時代、もしも少女がInstagramを使っていたら

ソーシャルメディア&インフルエンサー部門でグランド賞を受賞したのは、あるハンガリーの少女のInstagram。彼女の名前はエヴァ。第2次世界大戦時に実在した彼女は、ホロコーストの犠牲者600万人の中のひとりだ。彼女の日記を題材としたこの施策は、「エヴァがInstagramを使っていたら?」というテーマで、スマホでの自撮り映像など現代的なフォーマットで凄惨な悲劇を語り継ぐことが狙い。イスラエルのネタニヤフ首相もフォローを呼びかけ、現在のフォロワー数は135万を超えている。

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