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世界のトップクリエイターの判断力──クリエイティブの潮流2020

ブランドにはパワフルに 『意味のある役割』を果たすことが求められる

Rob Reilly(McCann Worldgroup)

コロナのピークは過ぎ、徐々に経済が動き始める中で、ブランド側とエージェンシー側はどのような広告に向き合っていけばいいのか。ここでは、McCann Worldgroup Global Creative Chairman Rob Reilly氏に、社会状況の変化や、2020年を象徴する広告事例について話を聞いた。

McCann Worldgroup Global Creative Chairman
Rob Reilly
クリスピン・ポーター+ボガスキーに10年間勤め、2014年にマッキャン・ワールドグループに入社。マッキャン・ワールドグループという会社を代表する作品「Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)」を指揮した。2018年、2019年、2020年にエフィー賞のグローバル・ネットワーク・オブ・ザ・イヤーを連続しての受賞そしてカンヌライオンズ賞グローバル・ネットワーク・オブ・ザ・イヤーに貢献。現在は、One Clubの役員会とGlobal Facebookの評議会のメンバー。

1. 広告にユーモアを戻し、消費者に“日常”を提供

──新型コロナウイルスによって、広告を取り巻く環境はどのように変化しているとお考えですか。

いまだ困難な状況ではありますが、世界中がコロナに関連した広告に疲れてしまっており、これからはより幅広い広告が必要になってくると思います。広告はブランドと商品がどのように人の役に立つかを明確に伝えることが求められます。このような広告はまじめになりがちですが、広告にユーモアが戻ってきて欲しいと思います。ただ、状況が状況なので、「笑い」の要素は広告ではなく、テレビや映画、TikTokなどが担うでしょう。

いまブランドは、消費者の心理状況を理解した上で、真剣かつパワフルに広告に取り組んで欲しいと考えています。まだ、コロナ以前ほどの水準までには戻っていませんが、徐々にブランドの広告予算が戻りつつあり、前向きな兆候が見え始めています。ブランドにおいても政府の政策などでは対応できないような社会の課題に対して、自分たちがコミュニケーションを通じて解決していくんだという思いで、予算を投資してほしいと思います。

──このような状況下での広告は。嫌われものにはなりませんか。

たしかに、今は広告だけでなく、企業に関わる何もかもが嫌われているとも言えなくもないです。とても難しい時代ですが、それでも広告を通じて消費者とのエンゲージメントを続けなければなりません。

なぜなら消費者は、表面的には広告が嫌い、邪魔だと言っていても、ブランドがCMなどでメッセージを伝えたり、新製品などをプロモーションしたりすることで、“日常”を感じ、安心するのです。

つまり、いまの日々の生活がコロナ以前の状態、いわゆる“日常”に近ければ近いほど消費者にとっては良いのです。人々の生活に入り込んでいる広告だからこそ、ポジティブな環境を生み出せるのです。

スポーツでも同じだと思います。最近、アメリカではバスケットボール、ホッケー、野球などの試合が無観客で始まっていますが、このようなスポーツがテレビで流れると、スポーツファンはひととき“日常”を感じることができます。もちろん在宅勤務の身であることを思い出し、現実に戻されるのですが。

2. 広告業界の課題は「若手の育成」

──エージェンシー側はどのような姿勢で向き合っていけば良いでしょうか。

我々は医療従事者のようにコロナに対して第一線で戦っているわけではありませんが、クライアントのビジネスを継続させ、競争力を維持していくために貢献する「セカンドライナー」であると考えています。例えば、トヨタ自動車などトップブランドが万一倒産したら、人々は恐怖に陥りますよね?それを防ぎ、毎日ブランドの健康を守るというのが我々、エージェンシーに属する者の使命であり、私はその仕事に誇りを持っています。

私は前向きなので、この未曾有の危機に対して、広告業界は最悪の状態を回避し、良く踏ん張ったと思っています。ただし、大きな懸念がひとつあります。それは、「若手の育成」です。

広告業界の最大の資産は人であり、それゆえ「人を育てるビジネス」と言えると思います。しかし現在は、若手が取り残されている感じがします...

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