記者経験者ら中心の制作体制を構築
企業の「コンテンツマーケティング」を支援する新聞社が増えている。記者経験者を中核に据えた製作体制で、記事広告やネイティブ広告の作成に携わる。企業の要請に的確に応える営業部門の経験値や、メディアで蓄積していた利用者データなども強み。「ブランドセーフティ」が注目を集めるなどデジタル広告の信頼性に対する懸念が、受注拡大につながっているとの見方もある。
読売新聞は今年1月「YOMIURI BRAND STUDIO(YBS)」を設立。「ブランド毀損に敏感な企業はネットコンテンツに制作力と信頼性を求めている。市場開拓の余地は大きい」と語る。YBS設立前の2016年12月、読売新聞東京本社は広告局にクリエイティブチームを立ち上げた。記者経験者らで構成するこのチームは広告主企業から評価が高く、YBSの製作体制の一翼を担う。メンバーもYBS立ち上げに伴い、増強するという。
YBSが手掛けるのは、インタビュー記事やイベント連動の企画のほか、ネイティブ広告や拡張現実(AR)や仮想現実(VR)、動画広告など。先端技術と組み合わせた企画展開のために、ワン・トゥー・テン・デザイン、エートゥジェイ、グルーバー、ナディア、インフォバーンのデジタル制作会社5社と企業連合を組む。参加企業の表現力やデータとクリエイティブチームの力を融合させ、より質の高いサービスの提供を目指している。
朝日新聞社は表現の幅を広げるため、自社や関連会社の資産を生かす。オウンドメディアの制作・運営はグループ会社のサムライト、拡張現実や仮想現実を使った企画はメディアラボ、空撮映像は航空部。また、主催映画祭で活躍した監督を映像作品のディレクターに登用できるようにしているという …