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食に見る、消費者の知覚の不思議

「そそる。」五感に訴える広告表現

博報堂 板東睦実

人に「食べたい」と思わせるには、味覚だけにとどまらない、五感を刺激することが必要となる。広告メディアを使っていかにして五感を刺激するような情報を伝えることができるのだろうか。30年にわたりコピーを書き続けてきた板東睦実氏から、そのヒントを探ってみる。

メディアは五感を使えない

30数年間、食品のCMをほぼ途切れなくやってきて、自分で思っていることをただ適当に書かせていただきます。人間には、五感というものがあります。視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚の五つです。人の欲求というものの、いちばん原始的なものはこの五つでできている。

その上に、自己顕示欲とか、承認欲求とかいうさらに文化に根差したものもありますが、いちばん根源的なのはこの五つでしょう。この五つの感覚を刺激して、人の欲求を湧き起こさせる。それが広告の一番の機能である、と僕は信じています。

食品の広告に限らず、トイレタリー、自動車、飲料などもずっと長く担当させて頂いていますが、基本的には同じだと思っています。

ですが、ここに大きな問題があります。あたり前ですが …

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