「おいしさ」という主観的な要素も技術の進化に伴い可視化できるようになりつつある。味覚センサー「レオ」を開発し、通称「味博士」と呼ばれる鈴木隆一氏に、味覚センサーができること、またこの技術が今後の消費者コミュニケーションにどう変化を及ぼすのかを解説してもらった。
「味の見える化」を実現
味覚とは極めて俗人的なものです。例えば「あのスイカ甘くておいしかったよね~」「あのトマトはうまみもたっぷりで甘くて最高だったわ」など、おいしさの表現はどれも曖昧で、伝わり方もさまざまです。食品メーカーの方に聞くと、量販店や小売店に営業する際に、客観的に自社商品のおいしさを説明できる要素がなく、説得力を持って説明できないという話もよく聞きます。その理由には、おいしさを測る共通の物差しがないことがあるでしょう。
味覚センサーは、主観的な表現に陥りがちな味を“見える化”できる機械です。人は、舌にある味蕾(みらい)という器官で味を感じ取り、ニューロン(神経細胞)を通して味を認識するのですが、そのメカニズムを模倣して、食べ物や飲み物の味を、5つの基本味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)ごとに数値化します。
当社の味覚センサー「レオ」には、いくつか特徴があります。一つが …
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