「スペシャルティコーヒー」と言われるような高品質なコーヒーを提供する店が増えてきた。その背景にある消費者の意識変化と、「特別な一軒」になるために、店側が提供する新たな価値とはどんなものなのだろうか。
二極化するコーヒー
「TRUNK COFFEE」
日本のコーヒーは二極化が進んでいる。安くて手軽なコンビニコーヒーがヒットする一方で、スペシャルティコーヒーと呼ばれる高品質のコーヒーを提案する小さなコーヒー店が東京を中心に続々と誕生し、注目を集めている。
従来、コーヒーの味の評価や価格、銘柄などはブラックボックスの中に隠されて、消費者からは見えにくいものだったが、スペシャルティコーヒーは定められた評価方法に則ってカッピング(テイスティング)を行い、80点以上の点数を獲得したものと決められている。また、トレーサビリティーも明確である。
おいしさの鍵となるのは、生産地ならではの個性。その背景に横たわる、生産者や栽培にまつわる物語も消費者の興味を惹きつける。単に味だけではなく、スモール&ローカル、エコ&サスティナブルを求めるようになった人々の価値観やライフスタイルに呼応しているのだ。
そんな新しい風を感じさせるコーヒー店を2軒紹介する。両店に共通するのはコーヒーの質への強いこだわりと、その魅力をお客に伝え、理解してもらうための努力である。
伝え方のひとつが、初心者のためのコーヒーセミナーやカッピング会の開催だ。もうひとつがSNSでの積極的な情報発信。SNSを通して人気を獲得するには、スタイリッシュな写真が欠かせない。視線を惹きつけ、お店に足を運んで最初のひと口を飲んでもらうためには、空間やコーヒーギアがフォトジェニックであることも必要なのだ。
ライフスタイルとコーヒー
「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS」
2014年5月に渋谷にオープンした「ABOUT LIFE COFFEE BREWERS」は ...