生活者自身による情報の受発信が活発化し、消費行動は大きく変化しています。この変化に対応したこれからのマーケティングのあり方とは?インテージが考えるリサーチと、データを活用したコミュニケーションによるマーケティング変革の道筋を全7回にわたりレポート。第6回は「循環型セグメンテーション」を紹介します。
写真右からインテージ マーケティングイノベーション本部リサーチソリューション開発室 三浦ふみ室長と同室チーフアナリストの片寄航氏。
循環を促すのは“キュレーター型”
これまで消費者の態度変容のフレームは一方通行のモデルで描かれてきた。しかし消費者自らが発信力を持ち、メディア化したことで従来型の概念では消費行動を正確に読み解けない時代になっている。インテージでは新たな消費行動モデル「循環型マーケティング」を提唱する慶應義塾大学の清水聰教授と共に、あらゆる場面で起きる「循環」に着目し、それに対応した企業マーケティングを支援するソリューションの整備に注力している。「購買して終わりではなく、そこからさらに情報発信し、他者の消費行動に影響を与えるなど、常に情報循環が起きている点がこれまでにない変化」とインテージの三浦ふみ氏は話す。
“メディア化”した消費者とコミュニケーションし、情報循環を活発化させる上で大切なのは、深い消費者理解に基づく「対話と共創」のマーケティングである。そう考えるインテージでは、従来の調査手法を進化させるだけでなく、新たな手法開発にも力を入れてきた。例えば2012年にはNTTドコモとドコモ・インサイトマーケティングを設立し、新しいリサーチ&コミュニケーション事業を提供している。「消費者の変化を促した要因の中でも、特にスマホが与える影響は大きい。当社ではインサイトを深掘りする定性調査でもスマホを利用したエスノグラフィーなどを採用しているが、テクノロジーを活用したリアルタイムかつFactベースの情報収集も重要。従来の記憶に頼るAsking型手法だけでなく、ライフログを始めとする記録を基にした消費者理解を支援する上では、スマホの活用が鍵となる」(三浦氏)。
しかし調査手法も多様化し、集積されるデータも増大すると、逆にコミュニケーションをプランニングする際のベースとなる消費者のセグメンテーションに悩みを抱える企業も増えてくる。インテージでは循環型時代に機能する、新しいセグメンテーションの枠組みが必要と考え、同社のあらゆるデータを駆使し、循環型セグメンテーションを開発している。
同社、片寄航氏は「大きくは購買前のメディア接触、購買時、購買後の情報感度・発信の3次元で分析したところ、情報循環を活発化させる特定クラスタが見えてきた」と話す。そのクラスタの特徴を一言でいえば「キュレーター型」。「メディア接触ではスマホを積極的に利用し、購買時にはECを含め、複数チャネルで買い回りしている層。新商品購入に積極的ではあるが、単に新しいからという理由で購入するのではなく、生活が充実し、人との交流が深まるか、などを吟味して購入するので、参考になる情報を発信するのがキュレーター層の主な特徴」と説明する。いま、マーケティング活動は大きな転換点を迎えている。「以前は上市から始まった消費者とのコミュニケーションが、今は商品開発の前から始まっていて、さらに各種データをスピーディーに把握し、臨機応変に対応する必要が生まれている。しる(理解する)→つくる→とどく→はかる、これを支援するソリューションを整備し、対話と共創の時代のマーケティング活動を総合的に支援していきたい」と三浦氏は話している。
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