絵本発のキャラクター「くまのがっこう」は、ミュージカルや社会貢献など、他のキャラクターにはない活動の広がりを持つ。「頑張る子どもたちを応援する」というゆるがないコンセプトが、こうした展開を可能にしている。
チャリティ活動「チア ジャッキーズ!」
着ぐるみのジャッキーが全国各地の幼稚園を訪れ、コンサートや絵本寄贈を行う。パスコと共同の食育講座なども行っている。
絵に頼らないブランド展開キッズミュージカルへの挑戦
絵本、商品開発、アニメーションに引き続いて「くまのがっこう」が挑戦したのがキッズミュージカル「ジャッキー!」である。「頑張り屋のくまのこジャッキーが活躍する」絵本から生まれたミュージカルらしく、頑張る子どもたちを応援することが主旨であるこの舞台には、いわゆる人気タレントや子役といったプロではなく、オーディションによって選ばれた“ふつう”の子どもたちが立つ。子どもたちは「入学式」を経て、半年間の稽古に臨み、その中で他人と協力しながら皆で一つのものを作り上げる一体感を体験していく。舞台本番の後は「卒業式」が行われ、さながら“がっこう”のような場となっている。
「舞台は“絵”を使わないキャラクター展開への挑戦でした」と相原博之氏は言う。「絵本、商品、アニメと展開してきて、次は“絵”に頼らないメディアでも『くまのがっこう』のコンテンツが成り立つか、挑戦したいと思ったんです」。初演は2011年。ストーリーは絵本『ジャッキーのたからもの』をベースにした兄弟愛の話で、脚本・演出・総合プロデュースは相原氏が自ら手掛けた。有名タレントや子役の出ない舞台は、一般的に興行的に不利と思われるが、結果は初年度から大きな成功を収めた。以来4回目となる今年まで、毎年公演日を拡大し、満員御礼となっている。
「『くまのがっこうの夏と言えばミュージカル』というのを定番にしていきたい」と相原氏は話す。オーディションは年々応募が増え、昨年はTOKYO MXで、子どもたちが稽古を通じて成長していく姿を密着取材したドキュメンタリーも放映された。絵本や商品の売上に直結するような施策とはまた異なる、ブランドの深みを作って行く一つのアプローチになっている。「キャラクターが持つ根っこの思想やテーマが伝われば、絵がなくても世界観は表現できる。夢は実写映画です」。
全国の幼稚園を巡回する「チア ジャッキーズ!」
「くまのがっこう」は、ブランドが生まれた2002年より社会貢献活動「チア ジャッキーズ!」も継続して行っている。主な活動内容は全国各地の幼稚園訪問と絵本寄贈。2011年の東日本大震災以降は、相原氏が仙台市出身ということもあり、東北支援を特に力を入れて行っている。
「年に1、2回のペースで行っており、今年で日本の主要な地域をほぼ一巡できる見込みです。ここ5年ほどは、協賛してくださっているパスコの支援を受けて一緒に回っています。着ぐるみのジャッキーによるコンサートやパスコによる食育講座を行い、子どもたちと直接交流をはかっています」。絵本は元来教育的コンテンツであることが多いことから、幼稚園などの教育現場には違和感なくフィットする。どのようなプログラムを行うべきかも、自然と導き出されたという。
東北支援に関しては、相原氏自ら仙台市長を訪ね、どのような支援が望ましいのかをヒアリングした上で、避難所を訪問してのコンサートなどを行ってきた。「運営スタッフは皆、子どもたちを喜ばせるために懸命です。短い時間だけでも、子どもたちが辛い記憶から解放されて楽しい気持ちになってくれたら」という。
国内だけでなく海外の子どもたちの応援として、アートを用いた心のケアに取り組むNPOの「子供地球基金」への寄付も行っている。こうしたチャリティ活動は「海外のタレントがボランティアや寄付に取り組むのと近い感覚」だと話す。日本のキャラクターの多くは、どれだけライセンスで利益を出せるか、立体展開でビジネスを拡大するかに主眼を置いたものが多い。だが、「頑張る子どもたちを応援する」ことをブランドの中心に置いているからこそ、「くまのがっこう」からはこうしたチャリティ活動が生まれ、他のキャラクターと一線を画す存在になっている。
チャリティーミュージカル「ジャッキー!」
毎年秋に出演者を募集し、年明けにオーディションを経て半年間稽古を行い、夏に本番を迎える。2014年は8月21日~23日の3日程で公演予定。
お問い合せ
株式会社キャラ研 http://bears-school.com
(くまのがっこう公式サイト)
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