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カンヌミニレポート

カンヌで気づいた「自社の普遍的な競争優位点」の見つけ方

須田和博(博報堂)

今年のカンヌライオンズに参加し、自らも5つのライオンを獲得した、博報堂の須田和博氏。ずっと追求している「テーマ」を胸に秘めつつ、受賞作や会場の参加客などの反応を観察しつづけたことで、いくつかの「気づき」が得られたという。

MOTHER BOOK

ベルネット「マザーブック」
(電通中部支社)
産婦人科クリニック ベルネットが妊婦のために制作したビジュアルブック。出産までの40週間を1冊にまとめ、そのプロセスを見える化した。ヘルス&ウェルネスグランプリほか。

誰もが分かり、誰も見たことがないものとは?

自分の最初の著書『使ってもらえる広告』(アスキー新書)を3年半前に上梓して以後、ずっと考え続けている「ヒットする広告」もしくは「世界で評価される広告」に共通する「鉄板の方程式」について述べる。

万人に分かる、もしくは、様々な文化背景を持つ世界各国から集まる「国際広告賞の審査員すべて」に理解されるには、その企画の寄って立つところは、ある意味「古いネタ」である必要がある。赤ちゃんや子どもへの愛、母の愛、家族愛、空腹や食欲、性欲、死の恐怖、人生のはかなさ、宇宙への憧れ、青春の輝き、原始人の単純さ、酔っ払いの愚行、祭りの熱狂、仲間同士のバカ騒ぎ、などなど。

カンヌの歴史を振り返ってゆけばハッキリ検証できるが、グランプリやゴールドを得るモノは、人種・文化・国籍を問わず、人類ならば誰でも理解できるだろうネタをベースにしている。「人類にウケる鉄板ネタ」これは必然的な「選択の結果」だろう。審査員の大多数や満場一致でなければゴールドやグランプリは獲れないからだ。

しかし、「誰もが理解できるネタ」というだけでは、実はまだ半分。それでいて「誰もが見たことない」ものでないと、評価は得られない。これは、どういうことか?誰もが理解できるのに、誰も見たことないものとは?自分が新人だった頃、憧れの大先輩である大貫卓也さんによくこう言われた。「新人のダメな案って、いいんだよね」。どういうことですか?「誰でも考えつきそうなダメな案は、だからこそ誰にでも理解できる」と。大貫さんはその「誰でも考えつきそうな案」を「誰にもできない仕上げにする」とおっしゃっていた。だから結果的に「誰でも理解できるのに、誰も見たことないモノ」になると。また、アニメ監督の細田守さんに、こう質問したことがある。「物語というのは、どうやって作るんですか?」。監督の答えはこうだった「いい物語というのは、普遍的なことを、いかに新しく言うかです」。このことを教えてもらった時に、自分の次の探求テーマは決定した。すなわち「新しい普遍」を探し求めていこう、と。

「最古×最新=新しい普遍」という方程式

誰もが分かり、誰も見たことがない企画を生み出す方程式
「誰もが分かり、かつ誰も見たことがないもの」こそ、作るべきもの。国際広告賞の受賞作も、世界的な大ヒットコンテンツも、多くが実はこの方程式でできている。

かつて、伊藤直樹さんはPARTYを立ち上げた頃 ...

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