カンヌライオンズ初日に行われたツイッター社のセミナーのテーマは「Live Storytelling」。生活者は今や情報の受け手から、自らストーリーを創り発信する側へと変容している。俳優のパトリック・スチュワート氏らを迎え、生活者と共創する最新のストーリーテリングの形が語られた。
(写真上)左がツイッター社 ジョエル・ルーネンフェルト氏、右がアートディレクターズクラブ(ADC)会長のイグナシオ・オレアムーノ氏(写真左下)アメリカン・エキスプレス レスリー・ベルナンド氏(写真右)俳優パトリック・スチュワート氏
世界中で同時多発的にストーリーが生まれる時代
企業が自らのストーリーを生活者に語り、SNS上で拡散を促すのは、“旧来型”のストーリーテリングであり、いまやストーリーテリングは企業と生活者同士によってリアルタイムに/世界のあらゆるところで/ストーリーが共創される「Live Storytelling」へ発展を遂げていると同セミナーは告げる。セッションではアメリカン・エキスプレス シニアバイスプレジデントのレスリー・ベルナンド氏、映画『X-man』のプロフェッサーX役などで日本でも馴染み深い俳優、パトリック・スチュワート氏、アートディレクターズクラブ(ADC)会長のイグナシオ・オレアムーノ氏が登壇。ツイッター社 バイスプレジデントのジョエル・ルーネンフェルト氏をモデレーターに、「クリエイティブ」「マーケティング」「エンタテインメント」の3つの視点から、「Live Storytelling」のダイナミズム、可能性を追究した。
ここで言うストーリーとは、小説のように壮大なフィクションではなく、身近で/自然体で/ユニークで、見ると思わず微笑んだり、吹き出したりしてしまうようなものだ。例えば俳優のスチュワート氏はある日、ツイッター上で、一人の男性が電話機を耳に当て、いかめしい表情を作っている写真と、それに対し、歯磨き粉を耳に当ててシリアスな表情を作る男性の写真を見つけた。そこで自分も同じように別のアイテムを耳に当て、ポーズをとった写真を投稿したところ、世界各地でバナナや花瓶など、様々なアイテムを耳に当てて投稿する写真がアップされた。スチュワート氏は「人は(1)エキサイティングでワクワクするようなこと(2)自らも発信し共有し合えるインタラクション(3)それが手軽に実現できる場に飢えている」と言う。
同様の例として、ADCのオレアムーノ氏は「Ryan Gosling won't eat his cereal」という一般男性が投稿したVine上のパロディ作品を紹介。映像はすべて、カナダ人俳優のライアン・ゴズリングが登場する映画の1シーンだ。映画の1シーンを背景にして、テレビ画面の前からシリアルを食べさせようとする。シリアルをスプーンに載せて差し出そうとすると、映画の中でライアン・ゴズリングがそれを嫌がる(ように見える)様子が受け、話題が爆発的に広がった。
生活者も巻き込んだコンテンツ設計を
アメリカン・エキスプレスとツイッター社が共同で提供した「Amex SYNC」プログラム。
全世界の誰もが、ストーリー・テラーと ...