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成果を最大化する仕事の進め方

枯渇しがちな広報リソースの確保に向けて社外パートナーへ依頼することを見極める

長沼史宏(アステリア)

広報機能のパフォーマンスを高めていくには、外部パートナーの力を借りる、そして広報部門の社員を増やし、体制を整えていくという選択肢があります。では、業務の中でも、どの部分をアウトソースしていくのがいいのでしょうか。

広報という業務は、受託ビジネスのような特性を持っていて、一つひとつの案件(話題)について丁寧に対応していかなければなりません。業務の自動化も難しいことから、組織の中で広報機能に対する期待値が高まると、一気にそのリソースが枯渇しがちです。その一方で、事業部門から依頼された話題に加えて、広報発案のネタの発掘も手がけるなど、私たちはクリエイティビティを発揮しながら常に新たな話題の創作活動にも注力していかなければなりません。

どこにリソースを投下するか

こうした状況下で仕事の進め方を工夫しないでいると、本来であれば十分なリソースを注ぐべき付加価値の高い部分に労力を投下することができなくなり、広報機能のパフォーマンスが低下するリスクが大きくなってきます。目先のプレスリリースの作成に忙殺されてしまい、クリエイティブな活動に注ぐ時間がなくなってしまうようなことは回避したい。そこで、自分たちのリソースをどうやって守っていくか、そして、いかにして付加価値の高い話題の創作活動に投下するリソースを確保していくかについての検討が必要になります。

例えば、日常的な広報業務(ポジティブな発信)を大きく分類すると、のような構成になると思います。

図 広報業務の種類

広報業務において最もクリエイティビティが問われ、労働価値が高い部分は❶と❷です。これは、ゼロからネタを企画したり社内に眠っている話題を掘り起こしたり、事業部門と折衝して話題の文脈調整をしたり、社内の状況を熟知し各部門のキーパーソンとも繋がっているインハウスの広報担当者にしかできない業務です。

また、❸と❹についても、アウトソースしている企業があるかもしれませんが、メディアとの関係づくりや話題の提案、取材中にスピーカーの発言を正すなどの行為は、広報業務に関する経験知を蓄積する上でも、インハウスの広報が対応しておきたい部分です。

一方で、私たちのディレクションがしっかり行えれば、❺はアウトソースしても問題のない領域です。私自身も“ひとり広報”の時代がありましたが、その当時、年に数度の勝負をかけるプレスリリース以外はあえて自分では書かずに、外部のパートナーに細かいディレクションをした上で作成を依頼していました。

リリースやニュースレターなどの文書作成は、意外と時間がかかるものです。ついつい自分でやってしまおうと考えがちですが、基本的なスキルを有しているパートナーに託しても、ディレクションと推敲がしっかりできれば自分と同じようなクオリティの文書に仕上がるはず。なので、広報のリソースをより付加価値の高い部分に投下...

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