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大学広報ゼミナール

「思いやりと情熱」が必要な大学広報

鈴木洋文(高崎商科大学)

高崎商科大学では「大学教員」に親近感を持ってもらうため、教員陣をイラスト化する「パワーコレクション」という企画を実施したことがあります。今では、入学式や卒業式でイラストと実物の学長と一緒に記念撮影する場面も見られ、愛校心の強化につながっています(画像)。

入学式や卒業式では「パワーコレクション」でイラスト化された学長と写真撮影をする光景も見られる。

同企画で大切にした要素が“ユーモア”です。ユーモアは“人の心を和ませるもの”である点から、“思いやり”とも表現されます。ユーモアで潤滑な人間関係を築いた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

心を動かす広報担当者の情熱

商品や企業の広告では、親近感が湧くようなユーモアのある広告を目にすることがあります。ユーモアあふれる広告は、“ウケる”ことが主目的のように思ってしまいがちですが、顧客との関係性を構築しながらも、伝えたい内容がしっかりと根底にあるため、純広告としての機能を損なっていないことがほとんどです。大学広報にも、伝えるべき自学の教育活動を突き詰め、飛躍させた、優れた広告や広報活動が多く存在しています。そのような施策からは、広報活動の先に存在する“喜怒哀楽を持った生身の人間”へのメッセージが感じられます。

佐賀県が運営している“21世紀型の藩校”、「弘道館2」では、若者の夢や才能のトリガーとして、数々の講座が開催されています。1時間目「想像学‐佐賀、石ころ、私。‐」(講師:池田学氏)などの講座のいくつかは、アーカイブ動画で公式サイトでも公開されています。

画家である池田氏の絵画のトリックと迫力は見る人を圧倒し魅了します。「絵を通じてコミュニケーションを取りたい」とコメントする同氏は、観覧者へのサプライズも意識していることでしょう。そういった思いが詰まった絵画と同様に、情熱やメッセージが込められたクリエイティブは人の気持ちを動かすものです。広報活動では、徹頭徹尾、情熱と思いやりと優しさが必要です。情熱的な強いポリシーを持ち、相手の気持ちに寄り添えば、優れた広報活動が可能となるでしょう。

「パースペクティブ」で自らを俯瞰する

数カ月前、近隣の高等学校の教頭先生から、スクールポリシーを考えたいので手伝ってほしいとお声がけをいただきました。依頼では、保護者会の後に、生徒会、保護者、教員の3者で話し合いをするため、ブレインストーミングワークショップを実施してほしいとのことでした。

相談をいただいた時、該当の高等学校では、すでに数年を...

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