広報の業務を効率化する方法は、部門の状況や目的によって多岐にわたります。ここでは、「情報収集」「広報企画」「コラボレーション」といった3つの切り口から、10社のケーススタディを紹介します。
限られた人数の広報担当者で、多くのブランドの情報を整理し、社外に発信していくためには、効率よく情報を集約するための工夫が必要となる。
アークランドサービスホールディングスでは、とんかつ専門店「かつや」、からあげ定食専門店「からやま」、タイ料理を扱う「mango tree cafe」など、15の飲食店ブランドを保有し、国内外合わせて765店舗を展開(2022年12月末時点)。新商品やキャンペーンの情報を日々発信しているが、プレスリリースの配信、SNSの運用は2名の広報担当で行っている*。
*取材時点の人数。
その内のひとりである鈴木恵美氏が同社に入社したのは4年前の2019年。当時、社内には広報専任の担当者はおらず、プレスリリースの配信などは他部署の従業員が兼務で行っていた。
「その頃のプレスリリースでは、商品開発部門から集めた、商品の特徴などをもとに『ぜひ食べてみてください』といった、販促的な内容のものを配信していました。しかし、プレスリリースは本来、販促や商品の推奨が目的ではなく、メディアがコンテンツ化したくなる、人から人へ伝えたくなるような情報を提供する場です。そこで入社後、プレスリリースのあり方を変えるために体制構築などを行ってきました」と鈴木氏は話す。
カレンダーに新商品情報を集約
入社時は、いかに工数をかけずに、有益な情報発信を行っていくかが喫緊の課題であったという鈴木氏。
プレスリリースの内容をブラッシュアップすることに時間をかけるためにも、社内での情報収集は可能な限り効率化したいと考え、社内での情報共有体制を整えていった。
同社では社内で各従業員がアカウントを保有している共有カレンダーに「メニュー」というアカウントを設け、「どのブランドでいつ、どのような商品を発売するのか」等の情報をカレンダーの予定として入力することで共有している。
さらに登録した予定のページに、商品の概要や撮影データ、販促ツールなどもリンクすることで、その商品に関する情報がカレンダーの予定に集約されている。そのため、広報がプレスリリースを作成する際や、ブランドのデリバリーサイトの運営を行っている...