プレスリリースの発信などで記者の関心を惹き、中身を読んでもらうのに重要なのが、その第一印象となるアイキャッチなどの画像だ。数多ある情報から記者に選ばれ、パブリシティ獲得に寄与する画像を撮影し選定するポイントとは。
スマホの登場により誰もが簡単に写真を撮影できる昨今、プレスリリースなどに使用する画像も自社内で撮影するケースが多い。だが「深く考えずに撮影した画像を企業公式として発信することは、リスクにもつながる」と警鐘を鳴らすのは、ビジネスシーンに求められる写真撮影に詳しい、カメラマンの善本喜一郎氏だ。
「画像などのビジュアルは文章以上に、人間の五感に響くもの。本来の被写体と乖離するビジュアルを活用すると、一時的には興味をもってもらえても企業への長期的な信頼が低下します」。
例えば「盛られた」アイキャッチをクリックすると、期待と異なる中身であるケースも多々見られる。そうした体験により、ユーザーは次からアクセスしなくなる。さらにネットリテラシーが高まっている近年は、「写真を盛ったこと」がユーザーにも伝わり、炎上にもつながりかねない。プレスリースのケースであっても、記者が中身を見て離脱することになり、今後アクセスされる可能性も下がってしまうのだ。
それでは実際に、広報担当者が記者の目を惹き、記事化までつなげるために効果的な画像とは。
その写真を使う必然性とは
善本氏は最も重要な点を、画像を見る人物像である「ペルソナ」と、画像によって見た人にどういった行動変容をしてほしいかという「目的」を明確に定めることだと強調する。
例えば、テキストとともに掲載する画像が必要となった場合。内容に合わない中途半端な画像を使うと、そのテキストが良質でもコンテンツ自体がチープに見えてしまい、アクセスされない可能性が高い。また画像に「手を抜いた」ことが目の肥えたユーザーに伝わり、企業イメージの低下につながることもある。そもそも画像ではなくイラストや図版が適する場合もある。たった1枚の画像であっても、「とりあえず使う」という考えは企業が想像する以上のリスクをはらむのだ。
では、ペルソナと目的の定め方とは。「ペルソナ」は、その写真を通じて伝える先のターゲットの属性、習慣、志向性などを詳しく設定する。そして「ペルソナ」がその画像を見て、どんな印象を抱き、何を考えるか。またはどんな行動につなげるかを鮮明にイメージできるまで深掘りした上で、被写体を観察し...