パブリシティ獲得の有効な手段である、プレスリリースの発信。しかしせっかく発信してもミスがあると、その情報への信頼性が下がり、発信元企業のイメージ低下につながるリスクもあります。どのようにチェックすれば、ミスを防げるのでしょうか。
自社の広報活動を強化するため、通常のプレスリリースとは異なる調査データの活用をしたい。そう考える広報担当者も多いのではないでしょうか。アンケート結果などを数値化した調査リリースは、調査データを通じて状況を把握しようとするメディアの関心を捉えるため、取材依頼やSNSへの拡散などにつながることもあります。
その半面、客観的な切り口であるはずの調査リリースに、ミスや不適切な表現があっては逆効果です。対外的にはSNSなどで拡散されてしまったり、訂正リリースなどの対応に追われたり、かえって業務効率が悪化してしまうことに。
そうならないために注目したいのは、調査リリースの確認にかける時間配分です。適切な時間配分で結果的に「効率的な情報発信」につながるのです。そこで、調査リリースでミスをしないためのチェックポイントを解説します。
チェック項目を3つに分類
チェックする際の順番は、原稿の冒頭からでしょうか。その方法は間違いではありませんが、効率化を図るなら、チェック項目を ❶文字の誤り、❷データの誤り、❸情報の誤りの3種類に分けて確認します。
❶ 文字の誤り
文字の誤りとは、誤字、脱字、用字用語の不統一、表記ルールの無視など。例えば「後・痕・跡」、「抑える・押さえる」、「加熱・過熱」などの変換ミスになりやすい同音異義語や同訓異字、「買物・買い物・買いもの」、「ウェブ・ウェブサイト」、「3か月・3カ月・3ヵ月・3ケ月・3ヶ月」、「80%・8割」などの表記ゆれ、「携帯電話利用者≠スマートフォン利用者」などの用語の定義が不十分な場合は注意が必要です。
❷ データの誤り
次にデータの誤りとは、グラフや表の項目に起こるミスを指します。数値とグラフ、グラフのタイトルや軸ラベル、表と凡例、グラフの色や形状などをチェックします。
例えば、グラフの図表番号と本文の図表番号の不一致、データの範囲が不正確(「20~50代の男女」の数字を「20~50代の女性」の数字と間違える)、構成比の数値が不正確(円グラフ、帯グラフで100%にならない)、グラフの種類が不適切(棒グラフと折れ線グラフの数価軸の幅が統一されていない)など、記載されたものを見ただけでは表面的に分かりにくい誤りにも注意します。
❸ 情報の誤り
最後に情報の誤りです。調査方法、調査対象、調査期間、調査結果、調査機関、有識者などの情報に過不足があると、調査リリースとして客観性が低く、誤った情報になりやすいです。文章の構成が不明瞭(「10年前の調査と比較して2倍に増加」の根拠が不明など)、調査対象が不適切なこともあります(「高校1~3年生」と記載すべきところを「高校1年生」に間違える...