素材メーカーの新田ゼラチンは、業界以外の企業認知が少ないにも関わらずプロジェクトのPR発表会が、380のメディアに取り上げられるなど話題を集めた。その秘訣について、新田ゼラチン 経営企画部マネージャー髙瀬勉氏に聞いた。
POINT
❶ 自社製品と社会課題をつなげた、一般消費者向けプロジェクトを実施。
❷ PR発表会では、内容に合致した著名人を起用。「撮りたくなる」視点の演出を取り入れ、露出拡大。
1918年に創業した新田ゼラチンは、食・美容・医療や研究用途をはじめ幅広い分野にコラーゲンやゼラチンなどを提供している素材メーカーだ。長年積み重ねてきた技術をもとに、業界内で高い知名度を誇ってきた。その反面、BtoB企業という性質上、一般消費者の認知度が上がらないことが課題となっていた。「創業から100年以上経ち、『一般消費者や投資家も含め、全てのステークホルダーとの関係を強化しよう』という機運が社内で高まりました。そんな中で生まれた施策が『フレイルFREE Project』でした」(髙瀬氏)。
社会課題の自分ゴト化図る
『フレイルFREE Project』とは、「ずっと私らしく、若々しく」をコピーに「フレイル」対策を啓発する取り組み。ヨガ専門メディアとコラボした「オリジナルヨガ」の動画や「フレイルFREE」な暮らし方を分かりやすく伝えるためのマンガなどを制作し、Instagramや特設サイトで公開している。
プロジェクトの実施背景として、同社はまず、主力製品であるコラーゲン摂取による生理活性機能と社会の関心ゴトの接点を模索。高齢化が進む中で、社会問題とされている「フレイル」(加齢に伴う様々な機能低下により心身が脆弱になった状態)に着目した。この問題は、肌や骨、血管などに多く含まれるコラーゲンの加齢に伴う減少・劣化と深いつながりがあるためだ。
さらに同社は「フレイル」を「歳を重ね、心身が強さや活力を失うこと」と考え、対象幅を30~40代に拡大。同年代にも「コラーゲンの摂取や適切な運動によって、健やかな毎日を過ごすことの重要性」を啓発する方向性とした。実際、コロナ禍を経てこうした年代においても、健康意識が高まっているタイミングでもあったのだ。「プロジェクトを30~40代にアピールできるよう、メインビジュアルや...