日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

取材がグンと増える上手い広報が実践していること

当事者の声で説得力アップ 露出効果を最大化する事後対応

中川政七商店

中川政七商店が三菱地所と協働するプロジェクト「アナザー・ジャパン」。学生が主役となり、地域産品を扱うセレクトショップの経営を担う。同プロジェクトが認知を広げた背景には、戦略的な広報活動があった。

アナザー・ジャパン1期生の学生たち。学生をメインとした切り口で取り上げたメディアが多かった。

    POINT

    ❶ プロジェクトテーマの魅力を知る学生たちが記者発表会に登壇

    ❷ メディアごとに「刺さる」プレゼンシートを作成

    ❸ メディア露出後の反響を想定した受け皿の用意

2021年12月、東京・大手町で開発が進む「TOKYO TORCH」内で、中川政七商店と三菱地所による新プロジェクトが始まった。「アナザー・ジャパン」と名付けられたそのプロジェクトは、全国から集まった有志の学生が、経営戦略から売上管理、商品の仕入れ、店舗接客に至るまですべてを担うという斬新なものだった。

同プロジェクトを多数のメディアに取り上げてもらうべく推進した広報戦略について、同プロジェクトの広報を務める中川政七商店の佐藤菜摘氏は次のように話す。「広報がメディアにアプローチする際、多くの場合は、プレスリリースや記者発表会といった手段を先に当てはめてしまいがちです。私たちは最初に『何のためにコミュニケーションするのか?』というゴール設定からスタート。『誰に何を届け、どう行動を変えたいのか』を明確にした上で、定性と定量の2つの目標を設定しました」。

プロジェクトチームで絞り込んだ「届ける相手」は2つ。それは、地元や経営に関心のある「学生」と、企業の経営層や地域の事業者だ。また、定性目標には「学生経営×地方創生への理解と共感を生み、18名の1期生採用につなげること」と定め、定量目標として「1期生のエントリー数200人」と「メディア露出数30件」を掲げた。

学生の「生の声」を届ける

広報活動を始めるにあたり佐藤氏は、今までにないプロジェクトについて企業側からプレゼンするだけでは、その魅力について説得力を持って伝えられないのではないか、と不安視していたという。そこで考えたのが、学生経営×地方創生の魅力を既に知っている人の力を借りることだった。

「最初のローンチ記者発表会で重要視したのは、学生の“生の声”を届けること。既に地方で起業している学生やベンチャー企業でインターン中の学生に、学生経営×地方創生の面白さについて話してもらうことにしました。上手くプロジェクトの魅力が伝わったのはもちろん、カメラマンも多くシャッターを切っていましたし、質問も学生に集中していましたね」。

このアイデアが功を奏し、記者発表会は多くのメディアで取り上げられることになった。そういった露出の積み重ねが『ガイアの夜明け』(テレビ東京)の出演につながったという。いきなりテレビ露出を狙うのは難しいため、「メディアがメディアを呼ぶ」戦略を立て、その...

あと60%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

取材がグンと増える上手い広報が実践していること の記事一覧

メディアリレーションの機会が広がる 2023年トレンド・キーワード
ヒヤリ!とした取材対応その後、どう動いた?
「メディア向け勉強会」のはじめ方
メディア側の視点、媒体特性を理解する―『企業の遺伝子』編
メディア側の視点、媒体特性を理解する―『週刊エコノミスト』編
メディア側の視点、媒体特性を理解する―『よるのブランチ』編
メディア側の視点、媒体特性を理解する―『ウワサのお客さま』編
メディア側の視点、媒体特性を理解する―『日経MJ』編
番組制作側を助ける柔軟な広報 丁寧な対応が次につながる
「ギャル」を「硬派なメディア」に提供 価値が伝わる見せ方を重視
創業物語と共に社内制度アピール 社内の協力体制が素早い対応生む
再生数1億超えの「カバ動画」機にメディア露出増え来園数過去最大
自治体「初」のAI職員採用などエンタメ性と対応力で話題化多数
自社製品と社会課題をつなげる メディアの関心集めた施策の裏側
店舗取材に社長が登場 トップ自ら語り企業イメージ拡散
当事者の声で説得力アップ 露出効果を最大化する事後対応(この記事です)
地域メディアへの訴求で課題解決 企業の印象づけを
メディアの取材を増やす広報の10の原則
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する