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広報担当者のためのSDGs入門

アブラヤシ問題へのリスク対応から、持続可能な社会の実現へ

サラヤ

SDGsの達成には、企業の創造性とイノベーションの力が不可欠とされている。持続可能な社会の構築に向けていち早く取り組み、国内外で評価を受けてきたサラヤの事例から、SDGsを取り入れた経営と広報との結節点を探る。

川岸ギリギリまで拡大したボルネオ島サバ州にあるアブラヤシのプランテーション。

「サラヤが環境破壊?冗談やろ」。2004年、テレビ番組『素敵な宇宙船地球号』(テレビ朝日)からの思わぬ取材依頼に、代表取締役社長の更家悠介氏は驚愕した。河川の汚染問題を解決する「ヤシノミ洗剤」が、森林破壊を招いていたのだ。この時からサラヤは、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現を目指す取り組みに力を入れ始めた。

浮上したアブラヤシ問題

1952年に衛生・健康関連メーカーとして創業した同社。石油系洗剤による河川の汚染が社会問題となったことを受け、1971年に人と地球環境に配慮した「ヤシノミ洗剤」を開発した。

問題となったのがこの洗剤の主原料である「パーム核油」。この油はアブラヤシの「種」から採れるものだが、食品メーカーを中心に「実」から採れる「パーム油」の需要が拡大した影響で、アブラヤシの原産地である東南アジアでの森林伐採が世界的な問題になっていた。それを知った番組スタッフが、パーム核油を使用するサラヤにも取材依頼をしてきたのだった。

当時から広報担当を務めている取締役の代島裕世氏(コミュニケーション本部本部長)によると、社内ではテレビ出演に関して「企業イメージを損なうリスクがある」という意見も多く、広報対応に迷ったという。しかし、最終的には「トップが責任ある態度を示したほうがいい」と判断し、更家氏は「(ボルネオ島の生物多様性損失の事実を)知らなかった」と素直にコメントした …

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