SDGsの事業への紐づけや責任体制を定めた取り組みが評価され、ジャパンSDGsアワードの「パートナーシップ賞」に選ばれた伊藤園。顧問の笹谷秀光氏が経営戦略におけるSDGsの重要性を解説する。
「2018年はSDGs実装元年になるでしょう」。伊藤園 顧問の笹谷秀光氏はそう宣言する。2015年にSDGsが採択されてから3年。2017年12月には総理大臣官邸で初の「ジャパンSDGsアワード」の表彰式が開催され、企業のSDGsに対する関心も少しずつ高まってきた。
伊藤園は同アワードでモデルケースのひとつとして「SDGsパートナーシップ賞」に選出された。SDGs推進に取り組みたい企業に向けて講演や勉強会なども積極的に行っている笹谷氏は、「欧米の企業ではすぐにSDGsと事業を紐づけていたが、日本では解読作業の時間が長かった」と指摘する。
企業価値を高める"共通言語"
そもそも、なぜ企業はSDGsを取り入れるべきなのか。そのヒントは、ガイドライン「SDGコンパス」(GRI、国連グローバル・コンパクト、持続可能な開発のための世界経済人会議作成)にある。笹谷氏は、SDGsの5つの重要性(図表1)のうち❺が最も重要だとし「SDGsを"共通言語"として課題解決に取り組むことで、企業の経済価値が向上するほか、社員のモチベーションも上がる」と言う。
CSVとSDGsの違いは?
企業の社会貢献活動は、「CSR」「CSV」と変化してきたが、今やSDGsが主流だ。全閣僚を構成員とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が2016年12月に決定した「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」でも、「SDGsの主流化」という表現が使われている。経団連も、2017年11月に「企業行動憲章」を改定し「SDGsの達成」を柱とした。
事業との相関性が薄いとされていたCSRに対し、経済価値と社会価値の同時実現を目指してきたCSV。では、そのCSVとSDGsはどう違うのだろうか …