SDGsの達成には、企業の創造性とイノベーションの力が不可欠とされている。持続可能な社会の構築に向けていち早く取り組み、国内外で評価を受けてきた住友化学・イオン・サラヤの事例から、SDGsを取り入れた経営と広報との結節点を探る。
「2050年までに温室効果ガスをゼロにする」。イオンは2018年3月に発表した「脱炭素ビジョン2050」でこう宣言し、環境先進企業として社内外に向けたコミュニケーションなどに取り組んできた。
低炭素から脱炭素へ
約30年前から低炭素社会の実現を目指す活動に力を入れてきたイオン。約600のGMS(総合スーパー)や300以上のモールをはじめとする国内外2万店の顧客接点を活かし、買い物客の理解と行動を促すための啓発活動を行ってきた。この10年は日経BP社の「環境ブランド調査」でも上位にランクインし、「環境にやさしい」企業としてのイメージも定着している。
しかし、2015年のパリ協定では目標が「低炭素から"脱"炭素」へと転換し、米ウォルマートなどグローバル企業が"排出ゼロ"を目指すようになっていた。新たな環境目標を定めるにあたって、脱炭素以外の選択肢はなかった。
現在、同社は日本全体の約1%相当の74億キロワットの電力を消費している。2020年からは、環境配慮型の「スマートイオン」店舗をIoTやAI・ビッグデータの活用など様々な手法を組み合わせた「次世代スマートイオン」店舗に替え、省エネの推進と再生可能エネルギーへの転換を図る予定だ。
社会を変えたレジ袋の有料化
イオンの持続可能な社会を目指す活動の原点は1991年にスタートした植樹活動「イオン ふるさとの森づくり」。地域住民とともに店舗敷地内への植樹を行うもので、イオン環境財団が実施している植樹と合わせると、現在までに国内外で1100万本以上の木を植えている計算になる。
グループ環境・社会貢献部長の金丸治子氏によると、活動の根底にあるのは「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という企業理念。この理念に基づき「店舗」「商品・物流」「お客さま」の3つの視点から環境や社会課題にアプローチしてきた …