SDGsの達成には、企業の創造性とイノベーションの力が不可欠とされている。持続可能な社会の構築に向けていち早く取り組み、国内外で評価を受けてきた住友化学の事例から、SDGsを取り入れた経営と広報との結節点を探る。
【メーカーの場合】住友化学
4月に「サステナビリティ推進委員会」を設置し、SDGsなどの社会課題の解決に向けた取り組みを加速させている住友化学。MDGsの時代以前から継続してきたマラリア対策事業や、SDGs採択後の2016年から取り組んでいる「スミカ・サステナブル・ソリューション」や「サステナブルツリー」を通じて、全社員がSDGsの達成に貢献できる仕組みづくりが評価され、2017年の「ジャパンSDGsアワード」ではSDGs推進副本部長賞を受賞した。
世界中の社員に浸透させる
2016年6月にCSR推進活動としてとして始めた「サステナブルツリー」プロジェクトは、国内外のグループ役職員が「業務と会社の社会貢献活動、および日常生活の中で、持続可能な社会の実現に向けてどのように貢献できるか」を17のゴールに照らして考え、専用のウェブサイトに投稿する仕組みだ。募集にあたって、経営トップ自らが主導して全社員への啓蒙を行ったことで、部署ごとの投稿も含めて100日間で6000件以上が集まった。
これらの投稿は、企業内保育所の子どもたちとともにツリーに飾り、東京本社の受付に設置。12月には、クリスマスに合わせて点灯式も行った。2017年の第二弾では、投稿内容を自分の仕事や職場に関する取り組みに限定して募集。9000件を超える応募があった。
コーポレートコミュニケーション部長の山内利博氏によると、サステナブルツリーには2つの目的がある。1つ目が、役職員にSDGsを認識してもらい、共感することで仕事のモチベーション向上につなげてもらうこと。
2つ目が、インターナルブランディング。売上の6割、従業員の4割が「海外」という同社では、2014年から「住友化学グループ グローバルプロジェクト」で、世界中の社員の一体感の醸成に取り組んできた …