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五輪緊急特集 オールジャパンPR

オリンピックというビッグコンテンツ、企業はどのように活用したらよいか

トヨタ自動車、日本コカ・コーラなど

日本コカ・コーラの本社ビル(東京・渋谷)前には、東京開催決定の数時間後には、祝賀広告が掲出された。プロジェクトチームは1カ月以上前から準備を進めた。

85年間の“蜜月関係”

「TOKYO2020 オリンピックが、また東京にやってくる」─。2020年五輪の東京開催が発表された日本時間の9月8日朝、東京・渋谷の日本コカ・コーラ本社ビル前に横長の広告看板が掲出された。アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスで開かれたIOC(国際オリンピック委員会)の総会で、ジャック・ロゲ会長(当時)が「トーキョー」と宣言してからわずか数時間以内の出来事だ。ほかにも、五輪とコカ・コーラ社とのかかわりを示す記事コンテンツが日本コカ・コーラの企業サイトに掲出され、さらに同日都内で開かれた「コカ・コーラ ゼロ」協賛のライブイベントには東京招致決定を祝うフラッグが多数持ち込まれ、会場を盛り上げた。

これらはすべて事前に準備されていたものだ。同社のスタッフが7月下旬から、招致レースの勝利を前提にメッセージや内容について検討を重ねていたという。当然ながら、広告看板やライブイベントで配られたフラッグは、招致が実現しなかったら日の目を見ることはなかった。「東京にオリンピックが来ることをプロジェクト担当者全員が信じて、すべて事前に準備をスタートしていました」(関係者)という。

オリンピックとの関係は85年前、1928年のアムステルダム大会から。米国の選手団に向けて1000ケースの「コカ・コーラ」を貨物船で運んだほか、五輪で初めて広告を掲出した。64年の東京大会では、交通案内やガイドマップ、観光情報、日英会話集を制作した。現在のようなマーケティングプログラムが初めて導入されたのは84年のロサンゼルス大会。当時その考えにいち早く共感したのがコカ・コーラ社だった。「コカ・コーラ」は200カ国以上で飲まれているグローバルブランドで、全世界でプロモーションができる五輪スポンサーの契約形態が同社にとっても効率が良かったということが理由だ。

それ以降はずっと、米本社がIOCと最上位のスポンサーであるTOP(The Olympic Partner)スポンサー契約を結んでおり、すでに東京五輪が開催される2020年まで延長されている。今回、招致決定以前から広告を仕込んだのも、「これまでのスポンサーシップの経験が役に立っている」(同)という。もっとも、コカ・コーラ社はグローバル企業であり、どの開催国でもマーケティング活動を展開していることから、世界レベルで見れば東京五輪で特別盛り上がることはない。ただ、日本コカ・コーラが国内で行うキャンペーンや一連の広告活動が活発化するのは間違いないと言えそうだ。

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