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五輪緊急特集 オールジャパンPR

2012ロンドン五輪に学ぶ「ジャパンPR」のヒント

金子将史(PHP総研 国家戦略研究センター長)

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「多様な国籍のロンドン住民がいる」実態に基づきダイバーシティを訴求
2012ロンドン五輪で、イギリスは「五輪出場国の全ての国の国籍を持つ人がイギリスに住んでいる」とダイバーシティを訴求。そのため、09年から3年かけて204の五輪出場国の国籍を持つロンドン市民を撮影し、五輪開催中に会場近くに展示した。

日本中が歓喜にわいた2020年東京五輪開催決定のニュース。外交や国家ブランディングに詳しいPHP総研の金子将史国際戦略研究センター長は、「五輪開催を東京や日本の国際競争力を高める契機にしていくことが重要」と話す。

ロンドンはダイバーシティを訴求

2度目の東京五輪の開催決定で、最も注目されているのは経済効果だが、外交的にもその意義は大きいと金子氏は指摘する。「各国の首脳、ジャーナリスト、一般の観客など多くの人が集まる五輪は、絶好の国家ブランディングのチャンス。集まった人に日本のよい印象を与えることは、外交戦略上とても重要です」。近年は、世論が政府に与える影響力も無視できないからだ。成熟都市として何を発信するか。また、どのようなリスクを想定し、いかに備えるか。今から戦略を練り、着実に実行することが求められる。

ロンドン五輪では、イギリスは「ダイバーシティ」「グリーン」というイメージを上手に演出した。パラリンピックの存在感を飛躍的に高めるとともに、「オリンピック出場国の、全ての国籍の人がイギリスには住んでいる」と訴えたのだ。実態が伴えば、こうしたメッセージは有効に働く。日本もまた、実態に即して「何をどう言えるのか」考える必要がある。

戦略を練るためにも、海外メディアのモニタリングは欠かせない。日本では、外務省が海外メディアの日本関連の報道をとりまとめているが、それらをもとにリスク管理を含むシナリオをプランニングし、外務省だけでなく政府全体で共有する仕組みづくりが求められる。

五輪において、グローバル発信と各種対応を担う実働部隊のオールジャパン体制をつくることも重要だ。五輪の可能性を最大限引き出すためには、政治・外交、スポーツ、観光とさまざまな省庁、関係機関との連携が欠かせないからだ。外務省やその所管である国際交流基金や国際協力機構(JICA)、そしてスポーツ庁、観光庁、国際観光振興機構(JNTO)などが協力し、進めていくことが求められる。「ロンドン五輪では、『インターナショナル・インスピレーション・プログラム』という海外の子どもたちにスポーツの喜びを感じてもらうためのプログラムを実施していました。水害にあうことが多いバングラデシュの子どもたちに水泳教室を開き、被害が減った実績もあるようです。まさに先進国らしい取り組み」。日本政府も、7月のテクニカルプレゼンテーションで、途上国のスポーツ文化の育成支援プログラム「スポーツ・フォー・トゥモロー」を実施すると発表した。「国内だけでなく、海外の人たちのスポーツ活動に寄与する取り組みは、その先の日本のブランドづくりにつながり、面白いと思います」。08年北京五輪、16年リオ五輪、また1964年の東京五輪は、五輪という舞台が「こういうことができる国になりました」という、いわば国の成長を示す機会になった。しかし、2020東京五輪は、成熟国家だからこそ何ができるか、という視点が重要だ。「五輪は最大の山場ではあるもののひとつの通過点。その時だけ注目を集めるのではなく、その準備期間でいかに世界との関わり合いを増やしていくか。その過程でいかに国家ブランドを高められるか。その視点が、2030年、2050年の日本につながっていきます」。

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