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広がるオンライン接客 「非接触」の販売促進手法

「ソーシャルコネクテッド」へシフト 非接触で変わる小売流通と消費社会

樋口 進 (シンクエージェント)

ソーシャルディスタンスから「ソーシャルコネクテッド」へ──。3密となる有人接客が難しくなった今、小売流通のあり方が変化している。アパレルなどを中心に、小売業のDX支援を手がけてきた筆者が解説する。

2019年末、中国・武漢に端を発して未曽有の地球規模災害へと発展した新型コロナ禍はグローバル化した社会の弱点をあぶりだし、経済と社会・人々の生活に劇的な変化をもたらした。これは単なる医療危機や感染症災害というだけではない。人々の価値観の在り方まで変えてしまうインパクトを与えた。

対人接触の根本的な見直しへ

Withコロナ、Afterコロナの経済の軸となるのはコミュニケーションとエンジョイスタイルの変革だ。たとえ今回のウイルスへのワクチンや効果的な治療法が開発されたとしても、次から次へと変異するウイルスとのイタチごっこがスタートすることは想像に難くない。そして、人々はこの災害への有効な対抗策が、対人接触(コミュニケーション手法)の根本的な見直しであることを身をもって体験してしまった。

また、封鎖・自粛で自宅に引きこもること、衣食住および就業すらも自宅や個人単位に移行させることの辛さも味わったが“メリット”も味わっている。

今や「ソーシャルディスタンス」という言葉はトレンド用語になった。そして、この5月までの緊急事態宣言下では、小売業にとって3密を避ける施策は(1)入場制限や営業時間と営業日のコントロール(2)入退店と導線のコントロール(3)レジ待ちポジション制御などだった。

しかし、経済を立て直そうとする局面でこのレベルの暫定処置では、到底事業採算を維持することはできない。このやり方は「密を避けて客数を減らす」と同義であり、売上を落とすことが前提にあるからだ。客数を減らさずに密を避ける端的な方法は、すべてをオンラインに移行することだが、これは現実的でない。だとすると、小売業の新しいフォーマットとしてはどこをデジタル化してどこをリアルのまま残すか?残したリアル部分を限りなく非接触コミュニケーション化する方法は何か?ということになる(図1)。

図1 Withコロナの要求と小売の対応策

筆者作成

Afterコロナに激変する業界

コロナのインパクトを受けた業界を大別すると、(1)集合・滞留系(2)移動系(3)濃厚接触系(4)ロケーション提供系(5)不要不急サービス&物販系(6)シーン支援系(7)グローバル調達&流通系、といったところだろうか。逆に追い風となっているのは、これらの業種に対し問題解決策を提供するデジタル&IT系や支援機材系、外食からの移行で需要が伸びた内食産業系だろう(図2)。

図2 Afterコロナに大きく変わる業種・業界

筆者作成

今後の経済社会に影響するポイントは、ダメージを受けたのが“不要不急”という言葉に象徴される「エンターテインメント」「趣味性が高い」「ヒトが集う」ジャンルであるということだ。何が問題かというと、これらのサービスは「楽しい生活場面やコミュニケーション場面」を創出することで、派生する多大な物販売上を牽引してきたということだ。生活場面が消えたことで付随する多くの物販売上が消滅したということになる。アパレルやレジャー用品の売上沈滞はこれが原因だ。

小売業にスポットを当てると、取り扱い品種によって明暗が分かれるのが現状だ。食品系やドラッグストア系は好調。最も厳しいのが百貨店とアパレル小売。インテリアと雑貨やホームセンター系がその中間といったところか。致命的に苦しいのは、高度な接客を必要とする高付加価値商材と、前述したイベント対応性の高い商材のダメージが大きいことだ。スポーツや音楽・興行、旅行などのイベントそのものの消滅が付随するシーン型物販の後退を誘発している。

DX推進こそがコロナ対策になる

コロナによってDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の方策に何か変化は見られたのだろうか。実を言うとコロナ後に生き残り、かつ成長するDX要件は、コロナ以前から意識されていた要素をより先鋭化したものだ。元来...

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