販売促進の専門メディア

広がるオンライン接客 「非接触」の販売促進手法

タッチレスエコノミー到来で変わる 店舗と店頭販促の未来

渡辺広明(やらまいかマーケティング)

セルフレジ、はたまた“レジなし店舗”の導入など「非接触」を検討してきた小売業界。人材不足に加えてコロナ禍によって、この流れはますます加速しそうだ。自らも月に一度はコンビニ店頭に立つ筆者が考える、今後の店舗と店頭販促のあり方とは。

外出時にマスクを着用することが、コロナ禍の影響で今後しばらくは当たり前のエチケットになっていくのかもしれない。iPhoneの顔認証機能のFace IDを利用している筆者は、画面を開く時にマスクをアゴにズラしてから認証する行為が面倒だなと思ってしまっている。

スマホの画面はロックがかかっていない時代を経て、セキュリティの強化の観点からパスワードの打ち込み、指紋認証へと変化した。さらにセキュリティも保護強化され、スマホの使用行動にも合致した顔認証まで進化してきた。マスクが当たり前になると、瞳による認証機能が出てくるのも時間の問題かもしれない。

加速するキャッシュレス決済への移行

そう考えると、小売業においては現金決済しか手段がほぼなかった昭和は歴史の彼方となり、クレジットカード決済、非接触型ICカードやスマホを利用したキャッシュレス決済など一気に決済パターンが変わりつつある。

筆者は月に一度程度、コンビニ各社の店頭でレジ打ちなどのお手伝いを首都圏でさせていただいているが、その中でキャッシュレス決済の利用者増加を肌で実感している。決済手数料の問題はあるが、大手小売業を中心に利用者が増えた。非接触の求められるコロナ禍では、さらにこの流れが加速することで近い将来に現金決済がマイナーな決済手段となり、キャッシュレス決済が主流となる可能性は極めて高い。

店舗の接客オペレーションでは飛沫防止シートの設置はすっかり見慣れた光景となり、現金のお釣りの受け渡しはトレイとなった。日本人は衛生観念が高いこともあり、このキャッシュレス決済への移行は止められないだろう。

余談だが、レジカウンターの「おでん」も消えてしまうかもしれない。フタを開けてカウンター上から漂う香りで食欲を誘って販売するという手法は難しくなり、今までの販売方法はなくなってしまう可能性が高い。コンビニの風物詩が消えてしまうかもしれない。

“レジなしコンビニ”本格普及なるか

タッチレスコンビニの最先端は、なんといっても“レジなしコンビニ”だろう。筆者は2019年、サンフランシスコでアマゾンが運営する食料品店「Amazon Go」を視察した。入り口のゲートでスマホに表示されたQRコードをかざして入場、買いたい商品を手に取り自分のカバンなどに入れる、もしくは手に取ったままで何もせずにゲートを通るだけで決済が完了。初回のスマホ登録に一手間かかるものの、登録してしまえばユーザービリティも高く、ストレスなく購入ができる優れた仕組みだ。

国内でAmazon Goを進化させた取り組みも出てきた。ローソンは2020年2月、富士通の事業所内にオープンしたレジなし店舗「ローソン富士通新川崎TS レジレス店」で、「マルチ生体認証技術」を導入した実証実験を実施した。Amazon Goと違い、手のひら静脈と顔情報のみで本人を特定して入店でき、レジなしのキャッシュレス決済が可能な究極の“手ぶらコンビニ”となっている。買い物が手ぶらで実現するなんて10年前までは思いもよらなかったが、そんな便利な買い物環境が手の届くところまで来ている。

生体認証の登録はプライバシー侵害などの問題はあるが、セキュリティが強化されれば便利さとの兼ね合いで浸透していくと考えられる。ただし、2020年は一気にレジなしコンビニに転換するのではなく、まずセルフレジでの接客を進めていくことになるだろう。

非接触の「Amazon Go」店舗
アマゾンが運営する食料品店「Amazon Go」。QRコードをかざして入場、買いたい商品を手に取り何もせずにゲートを通れば決済が完了する(サンフランシスコで筆者撮影)。



“手ぶらコンビニ”の実証実験
神奈川県にある「ローソン富士通新川崎TS レジレス店」で「マルチ生体認証技術」を導入した実証実験を実施。手のひら静脈と顔情報のみで本人を特定して入店、手ぶらで買い物が完結する。

レジ袋有料化で有人接客の煩雑化も

数年来、コンビニアルバイトは各都道府県の最低賃金に近いこともあり、人手不足が進んでいる。首都圏では外国人留学生なくしては成り立たない店舗も多くなっていたこともあり、ますます人手不足は悪化するとの見方の方が大勢である。

コンビニのお客さまは、シニアの方を中心とする従業員とコミュニケーションを取りながら接客を受けたいタイプと、なるべくノンコミュニケーションで買い物したいタイプに分かれる。後者のタイプをセルフレジに引き込めば、従業員の主要業務であるレジ接客が少なくなり店舗での省人化が進んでいく。

7月1日からは、レジ袋の有料化が始まりマイバッグのお客さまの袋詰めに対して、レジ業務が煩雑になることは間違いない。店舗オペレーション増加を考えるとセルフレジへの移行がお店側としては急務である。

1998年4月に消防法が改正されガソリンスタンドでセルフ式の運用が可能になり、3分の1強のガソリンスタンドがセルフ式になったが、危険物の取り扱いということで当初は抵抗のある人も多かった。ところが今はセルフ式のガソリンスタンドの利用は当たり前になった。

新たな消費行動が定着するまでには「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」「維持期」という5つのステップがあるが...

あと61%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

広がるオンライン接客 「非接触」の販売促進手法の記事一覧

広がるオンライン接客 「非接触」の販売促進手法の記事一覧をみる

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する