銀座のソニービルが今年8月、パーク(公園)へと生まれ変わった。このプロジェクトを2013年から主導してきたのが、ソニー企業の代表取締役社長/チーフブランディングオフィサーの永野大輔さんだ。

永野大輔(ながの・だいすけ)
ソニー企業 代表取締役社長/チーフブランディングオフィサー。1969年生まれ。1992年にソニー入社。営業、マーケティング、経営戦略、CEO室などを経て2017年から現職。「Ginza Sony Park Project」のリーダーとして、2013年からプロジェクトを推進し続け、今年8月9日に「Ginza Sony Park」をオープンさせた。
ソニービルの原点に立ち返った
──「Ginza Sony Park」を見て、ブランドを体現するのにこんな方法があるのかと驚きました。
2012年に現会長の平井(一夫)が社長に就任した翌年に社長直下のプロジェクトとして「Ginza Sony Parkプロジェクト」が立ち上がりました。私は発足当初から主導の立場で携わり、現在はソニービルの運営などを担ってきたソニー企業株式会社の代表取締役社長/チーフブランディングオフィサーという立場で関わっています。
実は、最初から公園にする計画ではありませんでした。1966年に完成したソニービルはエレクトロニクス事業を行うソニーのブランド拠点として、当時は新しかった複合的ショールームとして誕生しましたが、その後事業領域が音楽や映画、金融へと広がっていくなかで現在のソニーを表現できていないことが課題になっていました。「ビルを建て替えて再活用すべき」という社内の声を受け、「ソニーらしいビルはどんなものか?」と議論が始まったんです。
──あくまで建て替えの話だったのですね。
そうです。ただ、周りを見渡すと2020年に向けてさまざまなビルが壊され、建て替えられていく状況がありました。はたして「ビルを建て替えるだけでソニーらしいと認知してもらえるのか」と疑問がわいてきたんです。いくらデザインをソニーらしくしても、One of Themになってはソニーらしくない。ソニーは創業時から「人がやらないことをやる」DNAを持っているからです。そこで、あえて「建てない」という選択肢が出てきました …