昨年4月にヤマハ社内に初めてマーケティング戦略部が新設された。この部署から、ユニークな取り組みがいま次々と生まれている。メンバーの嘉根林太郎さんと新竹美奈子さんに話を聞いた。
クリエイターには直接会いに行って話をする
──お2人が所属する「マーケティング戦略部」は、新しい部署だそうですね。
嘉根:昨年4月に新設された部署で、本社のある浜松のほか、東京に独立したオフィスを構えています。これまでは、プロダクトの部署にマーケティング機能もひもづいていたのですが、我々の部署では音楽文化や市場に対して、ヤマハのプロダクトがどういう価値を提供できるのかを考え、各担当部署と共同で発信する役割を担っています。インハウスエージェンシー、あるいは社内コンサルのような動きと言えます。もう1つ、ブランドキャンペーンの企画・実施をするのも我々の役割です。
──今年のSXSWに出展した「Duet with YOO」もお2人の担当ですね。
新竹:「Duet with YOO」は、R&D部門との共同プロジェクトです。研究開発が進められていた人工知能合奏技術を活用し、ヤマハが考えるAIと人間の共創の可能性をもっと世の中に知ってもらうために、SXSWに出展することになりました。UI/UXやビジュアルのディレクションや発信の仕方を博報堂アイ・スタジオと共同で作っていきました。
嘉根:現在進行形のプロジェクトで言うと、AID-DCC、太陽企画と組んでコロンビアで「I'm a HERO Program」を進めています。コロンビアでは子どもを取り巻く社会課題が、彼らの可能性を限定しているのではないかと考えました。そこで、子どもたち自らの力で立ち向かい、音楽を通してヒーローになる「I'm a HERO Program」を企画しました。
このキャンペーンでは、コロンビアで行われる強豪サッカーチームの試合前に、ピッチ上で、子どもたちがヤマハの楽器「ヴェノーヴァ™」で国歌を演奏します。サッカー選手と同じように彼らを"ヒーロー化"し、音楽への憧れや夢を創出するためのキャンペーンなんです。