佐藤雅彦さん総合監修の『ピタゴラスイッチ』、佐藤卓さんがアートディレクションをつとめた『にほんごであそぼ』『デザインあ』などクリエイターと共に多彩な番組の開発を行っているEテレ。『テクネ 映像の教室』や『びじゅチューン!』を手がけるNHKエデュケーショナル プロデューサー 倉森京子さんに、クリエイターとの協業の秘訣を尋ねた。
「一緒に番組を作りたい」と直接オファー
──Eテレでは、以前からさまざまなクリエイターと番組制作をされていますね。
決まったシステムがあるわけではありません。『ピタゴラスイッチ』や『にほんごであそぼ』は、局内で「コンテンツ開発研究会」のような外部の方を入れた子ども番組分野の勉強会があり、その人脈から佐藤雅彦さんや佐藤卓さんを知ったと聞いています。信頼する人から紹介されて、さらにそこから広がっていくことが多いようです。
──2012年にスタートしたEテレ「テクネ 映像の教室」の場合は?
2011年に「映像の番組を作ろう」と、東京藝術大学映像研究科教授の岡本美津子さんから声をかけられました。CM、MV、映像インスタレーションなど、テレビの外にある映像をテーマにしたものを、と。私が担当してきた『日曜美術館』でという話でしたが、それなら別番組として企画した方がいい。とはいえどんな内容がいいだろう…と考えていた時、同僚に勧められた文化庁メディア芸術祭で少し前に見た、PARTY 川村真司さんの『日々の音色』(SOUR MV)が頭に浮かびました。こんな考え方で映像を作ったことはない、なんて素敵なんだと感動したことを思い出したのです。
当時は川村さんが何をしている人かもよく知りませんでしたが、こういう映像を作る人と一緒に新しい番組を作りたいと思いました。すると知人が、ちょうどPARTYの設立記念パーティがあるから一緒に行こうと連れていってくれたんです。
──そこでどのように依頼したんですか?
私は川村さんのCDという仕事が何かもよくわからなかったし、そもそも何とお願いしてよいかもわかりませんでした。ただ、『日々の音色』を見た感想と、「映像の番組をつくりたいので協力してほしい」と伝えたと思います。川村さんは「興味あります!」と言ってくれたけれど、実際に企画が採択されたのはその数カ月後。採択されてすぐに「お願いします!」と会いに行きました。
川村さんは、翌日にはNYに向かう機内で企画書をまとめてくれました …