KOKUYO DESIGN AWARD、クリエイティブラウンジ「MOV」、ライフスタイルショップ&カフェ「THINK OF THINGS」など、商品開発以外にもユニークな試みを続けているコクヨ。2015年に代表取締役 社長執行役員に就任した黒田英邦社長は、就任前から「インハウスデザイナーのアイデアやチャレンジを後押しする環境づくり」に力を入れてきたという。

黒田英邦(くろだ・ひでくに)
2001年4月コクヨ入社、オフィス家具部門の法人営業、
経営企画部長、コクヨファニチャー代表取締役社長を経て2015年よりコクヨ代表取締役社長執行役員に就任。社長就任後、2016年度から2018年度までの3カ年の中期経営計画『Value Transformation 2018』を策定。3カ年の経営の基本方針を『価値創造にこだわる自己改革』とし、顧客本位にこだわった価値創造を実現する“運営モデルの改革”と中長期の持続的成長を可能とするための“収益体質のつくりこみ”に取り組んでいる。
インハウスデザイナーを輝かせるために外部クリエイターとの接点を作る
──黒田社長は社内外のクリエイターと積極的にコミュニケーションをとっていると聞きます。そこにはどんな考えがあるのでしょうか。
社長になる以前、ファニチャー事業の空間設計チームの責任者として現場に関わっていました。そのとき、これまでの経験に囚われない新しいプロジェクトがうまく進んだ経験から、私は新しいことにチャレンジし成長する人が社内でより多く育つ環境をつくっていきたいと考えるようになりました。メーカーであるコクヨとして、特にインハウスデザイナーのアイデアやチャレンジを後押しする環境を整えること──それが社長である自分の役割だと認識しています。
過去、インハウスデザイナーが独立・転職したときの理由として「会社ではやりたいことができないから」と言われたことがありました。それを聞いたとき、なぜコクヨの社内でやりたいことが実現できなかったのだろうと悔しい気持ちになりました。
メーカーとしてよい商品やサービスを世に送り出していくためには、インハウスデザイナーは会社にとってもっと輝く存在であるべき。そうでなければ、いいプロダクトや空間も生まれないし、営業も社外にPRできない、さらにはお客様にも支持されない。インハウスデザイナーがやりたいことと、会社が目指すことが重なってこそ新しいチャレンジができる、それがこれからのコクヨに必要な環境だと思いました。
そうした背景から、社内だけでなく、第一線で活躍する外部クリエイターの方々とも積極的に交流するようになりました。その目的はひとつ。弊社のインハウスデザイナーと交流し、刺激を与えてもらい、彼らをもっと輝かせるためです。使う人ならではの優れた商品デザインを広くユーザーから集めて、商品化を目指すコンペティション「KOKUYO DESIGN AWARD」はまさにそのよい機会の一つです。
外部クリエイターの方々に審査員として参加してもらいながらも、モノづくりの考え方や判断のプロセスなどを議論する経験を共にすることで、インハウスデザイナーにはクリエイターとしてさらに成長してもらうよい機会になっています …