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クリエイティブ経営のキーパーソンたち

オープンな関係性からいい広告は生まれる

上野隆信(大塚製薬)

ポカリスエットやカロリーメイトなど、常に話題になるCMを送り出している大塚製薬。長年広告制作を担当してきた宣伝部の上野隆信さんにいい広告を作るためのクリエイターとのコミュニケーションについて聞いた。

上野隆信(うえの・たかのぶ)
大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部 宣伝部 課長。1991年大塚製薬入社。関西エリアで約16年間の消費者商品の営業を経て、2007年に東京本部宣伝部へ異動。主にポカリスエット、カロリーメイトの宣伝広告を担当。

直接話すようにしたら広告が変わった

──上野さんがこれまでに宣伝部で担当してきた仕事について教えてください。

2008年に関西エリアの営業から宣伝部に異動し、この10年間でカロリーメイトやポカリスエット、ファイブミニ、オロナミンCなどの商品の広告宣伝を担当してきました。30年以上続いているロングセラー商品ばかりなので、常に意識しているのは"ブランドの鮮度を保つ見せ方"です。以前は弊社の中に「うちの広告はこういうもの」というフレームがあり、消費者の気持ちを考えない打ち出し方をしていたこともあったと思います。でも、それでは消費者に伝わらないと気づいて、変えてきました。

──何かきっかけがあったんですか?

大きな変化は、4年前にポカリスエットのメインターゲットを若年層にシフトしたことです。飲料機会が減っていた10代に向け、彼らにとって日常である部活動などの大量の汗をかくシーンで若者に寄り添うブランドにする必要がありました。これまでのやり方で彼らに届かなかったのだから、やり方を変える必要がある。でも、競合他社が既に10代へのアプローチを盛んに行っている中、若年層への苦手意識もありました。そこで世の中の潮流をつかんでいるクリエイターの方に、思いきってお任せすることにしたのです。

──具体的にはどうやり方を変えたのですか。

一番大きいのは、クリエイターと直接話をするようになったことです。以前は私たちも広告会社の営業担当を通じて、「制作の方に伝えておいて」というやり取りをしていました。クリエイターは大塚製薬の商品に対して、「世の中の人はこう思っている」「世の中からはこう見えている」という外の視点を提示してくれます。そういう意見を直接聞いて参考にするようにしたのです。以来、必ずクリエイターと直接会って話をするようにしています。

特に1回目の打ち合わせでは、宣伝部だけではなく、製品部や営業部など関係する人間が参加し、中長期スパンでブランドとして考えていることや製品が抱える課題も交え、できるだけ細かく話をするようになりました …

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