小学生の直筆の手紙をメインビジュアルに使った、シャボン玉せっけんの企業広告「香害を知ってください。」。見た人に強いインパクトを残すこの意見広告はどのように生まれたのか。シャボン玉石けん 代表取締役社長 森田隼人さんに話してもらった。
小学生から届いた直筆の手紙を広告に
──小学生から届いた手紙をもとにした「香害を知ってください。」という広告は、どんなきっかけで生まれたのですか。
「香害」という言葉は我々が作った言葉ではなく、以前から使われていた言葉です。我々もこの言葉に注目しており、2016年にはインターネット調査をしたところ、5割強の人が「人工的な香りで体調不良を起こしたことがある」と回答しており、これは社会問題であると認識しました。
それから啓発活動はずっと続けてきましたが、広告を出そうと思ったのは、この小学生からの手紙がきっかけです。「学校にみんなくさい服を着てきて、強い香りがするから行けなくて困っている」という強いメッセージをもらって、本当に実際に苦しんでいる人はこういう思いなんだ、自分たちの認識はまだ甘かったと実感したんです。
シャボン玉石けんでは先代より化学物質や合成添加物を一切含まない無添加石けんにこだわっており、おかげさまで「無添加石けんのパイオニア」として認知されています。広告では石けんを普及させることは当然ですが、化学物質で悩んでいるこうした方がいることを多くの人にお伝えしなければいけないという思いで決断しました。
──この手紙を広告にする上では、どのような制作過程があったのでしょうか?
制作は広告会社に依頼しましたが、私自身は最初からこの手紙をこのまま出せばいいと思っていました。そのぐらい強いインパクトがあったからです。広告会社のクリエイターからは、手紙をメインに使った案と、もう1つ、ピンクの目立つビジュアルに「日本に新しい公害が生まれています。」というコピーが入った案も出てきました。これは面白いと。どちらにしようか検討した結果、これだけいいものができたのだから訴える力をより強めようと、第1弾、第2弾と連続で出すことにしました …