今年2月から3月にかけて、東京ミッドタウン・デザインハブで「地域×デザイン展2018」が開催された。地域で新しい価値を生み出すプロジェクトの展示や、その実践者たちによるトークセッションが行われた。
地域の課題に取り組む10のプロジェクトを紹介
「地域×デザイン展2018」は、地域が持つ魅力を発見し事業化したプロジェクトを紹介する展示イベント。3年目を迎えた今年は10のプロジェクトが展示され、17日間の会期中にはトークセッションも連日開催された。
展示されたプロジェクトは、いずれもデザインを活用して地域の産業や経済を動かし、コミュニティの醸成に貢献したもの。例えば青森県十和田市の「ウマジン」は、日本有数の馬産地である同市の伝統芸能「南部駒踊り」をヒントに考案された。人が被る馬頭型オブジェを開発し、ワークショップやパフォーマンスで使うことで、年齢や人種を問わず笑顔になれるコミュニケーションツールにしている。また、全国に広がる「移動スーパーとくし丸」は、地域スーパーから商材を手配し高齢者などの“買い物弱者”の元に届けるサービスで、地元密着型の新しいビジネスを全国各地で生み出している。
他にも、地元鯖江市で産業観光イベントの企画・運営を行い、メンバー全員が移住者でありながら“インタウンデザイナー”として活躍する「TSUGI」も選ばれるなど、幅広いアプローチの10プロジェクトが選ばれた(各プロジェクトの概要は、同展のWeb サイトでも見ることができる)。
地域で自分らしく働くヒント
トークセッションでは、「SELF TURN」をキーワードに、地域での働き方を論じるセッションが多数実施された。「SELF TURN」とは、「働き方=生き方」と捉え、自分自身(SELF)の可能性を最大限に生かせる仕事を探そうとする考え方で、日本人材機構が提唱している。本展は同機構による「SELF TURN week」の一環としても位置づけられている。
トークセッションには、渋谷区の長谷部健区長など自治体のトップのほか、Iターンによる地域での起業経験者や、東京と地域の2地点を行き来して働くデュアルライフの実践者らもスピーカーとして登壇した。場所や手法に捉われず、本来の自分らしい働き方を追求する生き方への、多様なヒントが示された。
「地域プロジェクト×働く」と題されたセッションでは、SELF TURNを提唱する日本人材機構 代表取締役社長の小城武彦さん、地域企業の成長支援を行う経営共創基盤 代表取締役の冨山和彦さん、復興事業や社会的事業のための官民関係者間のコーディネートを行うRCF 代表理事の藤沢烈さん、事業構想大学院大学の田中里沙学長が登壇。
トークのテーマは「地方で働くことのメリット」「地方企業の魅力と経営人財の必要性」の2つ。地域の仕事をキャリアの終着点ではなく、地域の仕事を成長の基盤として捉え、キャリアを広げる起点とする若い世代の新しい働き方「ローカルキャリア」などが紹介され、地域から生まれつつある新しい働き方の価値観をめぐる議論が行われた。
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