世界中から多くの企業や人が参加する「CES」に今年、日本からの出展企業による共同パビリオン「JAPAN TECH」が登場した。
海外と日本をつなぐ登竜門をつくろう
最新のテクノロジーが持ち寄られ、毎年数多くの新しいビジネスが生まれる見本市「CES」であるが、出展へのハードルは思った以上に高い。会期中に次年度の出展枠がほとんど埋まり、終わった時にはキャンセルが出るのを待つという状況になるほどだ。さらに主催者である全米民生技術協会(CTA)による審査が厳しく、過去の実績で交渉のしやすさが変わるため、初めて出展する企業ほど難しい。
そんなCESの公認で、今年から登場した日本パビリオンが「JAPAN TECH」である。さまざまな国や地域が出展するエリア内に設置されたJAPAN TECHには、江崎グリコのような大手企業からベンチャー企業まで規模や事業の異なる12社が参加した。
仕掛けたのは、大広と国際展示会への出展を専門とするクリエイティヴ・ヴィジョン、ベンチャー企業の支援やコワーキングスペースの提供を行うフィラメントの3社だ。それぞれが持つ知見を生かし、出展支援から、商談・ネットワーキングの場の提供、PR支援まで、日本企業がCESに参加し、新たなビジネスを生み出せる環境をつくろうと「JAPAN TECH PROJECT」はスタートした。
これまでに、大広のプロジェクトメンバーは、オーストリアで開催されるアルスエレクトロニカやさまざまな国際展示会に参加する中で、日本企業の存在感の弱さを目の当たりにし、課題に感じていた。一方で海外出展には、費用だけでなく言語や出展に関するノウハウ不足などの問題がある現状も踏まえ、出展から成果につなげるまでトータルサポートすることでJAPAN TECHが日本企業の海外進出への登竜門になるようにと取り組んでいる。
日本企業としての統一感あるブース演出
今回JAPAN TECHでは、出展ブース以外に、プレゼンテーションの場やレセプションを設けることで、投資家やメディアとネットワーキングできる環境を整えるなど、展示空間の設計・演出まできめ細かくサポートを行った。当プロジェクトのコンセプトは、「日本企業が『海外に一歩を踏み出して、技術を発信する』、『世界の最新の動きを五感で感じる』、『パートナーと出会いビジネスを創出する』の3つをめざし、『魅せる、感じる、生み出す』という言葉にまとめました」と、大広 石丸小也香さんは語る。
また、コンセプトをもとに開発されたロゴは、「日本企業の一社一社が世界の風を受けて、まわり、そのエネルギーをもって逆に風を起こし、世界に影響を与える存在になってほしいという想いをこめて、赤い風車の集合で構成することを、チーム内で決めました」と、同社 長谷川雄一さんは話す。
JAPAN TECHに参加した企業からは出展の手応えを実感したという声が上がっている。紙に近い感覚で読める電子本「全巻一冊 北斗の拳」を開発したプログレステクノロジーズや、大広と共同で光を用いたインタラクティブな桝「MASU GLASS」を開発したYume Cloudなどは早々に国内外のメディアに取り上げられている。ブースを訪れた参加者からも「日本ブースには素晴らしいプロダクトが揃っている」などの好評を得たという。
今後は主催者であるCTAとの連携をさらに深め、CES内の他会場でもJAPAN TECHを展開することを目標とする他、企業の単独出展もサポートしていく。そうして日本企業の存在感アップにつなげ、参加する国際展示会を増やしていく予定だ。
同社 執行役員の大地伸和さんは、「IoTによるプロダクトのサービス化が進む中、新しいサービスの付与には、ベンチャー企業が持つ新たな発想とテクノロジーが重要となってきます。ベンチャー企業と連携を取り、新たなサービスを生み出す枠組みをつくっていくことが、クライアントの事業拡大に貢献できる新しい広告会社の機能だと考えています」と語った。
- プロジェクトチーム(企画・制作・運営)/大広+クリエイティヴ・ヴィジョン+フィラメント
- グラフィックデザイン/アシタノシカク
- Webデザイン/ジーピーオンライン
お問い合わせ
JAPAN TECH PROJECT
info@ces-japantech.jp