コーポレートサイトやECサイト、バナーなどのWebクリエイティブ、チラシやパンフレット、DMなどの制作物を社内で制作することへの関心が高まっている。11月に開催されたアドビシステムズ主催のセミナーでは、先行して社内制作を行う企業の取り組みが紹介された。
ブランドの世界観をブレずに表現 それが内製のメリット
イベントの第1部では、スマイルズ 取締役 クリエイティブディレクター 野崎亙さんが、どのように企業内のクリエイションを進めているかを紹介した。同社には、スープストックトーキョー、パスザバトン、ジラフ、100本のスプーン、檸檬ホテルなど複数の業態にわたる事業がある。野崎さんがトップを務めるクリエイティブ本部では、複数のブランドを横断し会社全体のクリエイティブディレクションを行い、ブランド管理をしているという。
「ポスター、空間、ビジュアルマーチャンダイジング、Web、企画から形にするところまで、すべてやるスタンスです。うちのデザイナーは皆前のめりで、事業部からの依頼を待つことなく、制作物もキャンペーン企画も先んじて提案して実施していきます」。
第2部では、アドビ システムズ マーケティング本部 マーケティング マネージャー 岩本崇さんが講演。同社のCreative Cloudを使って内製を行う企業の事例を通じて、内製化への取り組み方を紹介した。「一般の企業の販促部門でも、我々のツールを使う人が増えている。内製化のメリットには、クリエイティブの最適化、スピードの向上、社内ナレッジの共有などが大きく挙げられる」と説明した。
第3部では、コロンビアスポーツウェアジャパン マーケティング部 衛藤智さん、RIZAP スタジオ事業部 メディアマーケティングユニット 渡辺華子さんが加わり、パネルディスカッションが行われた。コロンビアスポーツウェアジャパンは自社にクリエイティブの部署は持たないが、テレビ番組はじめ各メディアのクリエイティブを基本自社で企画立案し、ディレクションも行う。
「自分たちでディレクションすることで、さまざまな媒体の広告、そしてテレビ番組でさえも一貫したイメージで発信でき、かつ予算の削減にもなる。また、自分たちで作ることで、次年度のプロモーションの素材にしたり、店頭の映像コンテンツに使えたりと、二次利用の観点からも社内で作ることの利点がある」と衛藤さんは話した。
RIZAPの渡辺さんは、「デザイナーやカメラマンなど専門職スタッフも抱えている。内製化のメリットは、ブランドの世界観、自社の考えが表現できること。CMは出演者の管理も含めてトレーナーとチームで作り上げており、ライザップクック、英会話、ゴルフなどの広告や会員に渡すガイドブックなども制作している」と紹介した。
パネルディスカッションでは、内製化と外注を組み合わせる際の線引きや、外注会社へのディレクションのポイントなどが議論された。岩本さんは「今日はこれだけ多くの方に参加してもらい、内製化への関心の高さを感じることができた。ディレクションは難しいが、下手でも具体的に絵を描いて伝えたり、完成前の早い段階でフィードバックを行うなど、コミュニケーションを積極的に取ることが、クオリティを上げ、効率化につながるポイント」と来場者にアドバイスを伝えた。
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